日本人が知らない自由主義の歴史~後編
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リバタリアニズムとは何か…個人的自由も経済的自由も
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(5)「リバタリアニズム」の登場
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
「リバタリアニズム」という言葉がある。アメリカから出てきた思想だが、ある意味では、自由主義の本来的意味を引きついたのがこのリバタリアニズムだといえる。日本ではあまり耳なじみのない「リバタリアニズム」だが、本来、どのようなものなのか。ここでは、リバタリアニズムという言葉が生まれた背景や、その思想的特徴を追いながら、ニューリベラリズムやネオリベラリズムとの違いを今一度、整理していく。(全13話中5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分14秒
収録日:2022年7月25日
追加日:2023年8月11日
≪全文≫

●「リバタリアニズム」とはどのような思想か


―― 一方で、「ネオリベラリズム」ではない言葉として「リバタリアニズム」という言葉も、日本でも、ごくたまに聞くようになってきている状況だと思います。このリバタリアニズムは、日本人からするとなかなか理解が難しい言葉ですが、どのような意味の言葉でしょうか。

柿埜 今、「ネオリベラリズム」と自分で名乗っている人は誰もいません。この誰もいない考え方とは違って、「リバタリアニズム」はきちんと自分で名乗っている人がいて、実際にきちんと支持を集めている考え方の一つです。

 リバタリアニズムは、アメリカで出てきた考え方です。なぜアメリカで出てきたかというと、これは非常に単純で、アメリカでは、 先ほどもお話しましたけれども、「リベラリズム」という言葉が完全に左派の意味で使われていて、社会主義とニアリー・イコール(≒)になってしまっています。この状況では、本来の古典的な自由主義を主張したい人たちは、やや都合が悪いわけです。

 アメリカではリベラルと名乗ると、どうしても社会主義者と誤解されてしまうので、いっそのこと別の言葉を使ってしまおう、ということで出てきたのがリバタリアニズムという言葉です。

 リバタリアニズムは基本的に(「自由至上主義」などと訳されることもありますけれども)古典的自由主義を引き継いで、個人の自由を何よりも大事にするという思想です。

―― はい。

柿埜 アメリカではリベラリズムというと、基本的に「大きな政府」「再分配」とほとんど同じものだと思われてしまっているので、リバタリアニズムを使う人が増えているという感じです。


●「リバタリアン」の思想的特徴をノーラン・チャートで整理


―― このリバタリアンの思想的特徴について、ノーラン・チャートという図を示していただいていますが、この図はどのように読めばいいのでしょうか。

柿埜 このノーラン・チャートは、リバタリアン党(1971年につくられたアメリカの政党で、マイナーな党)のノーランという人が作った図です。これは、リバタリアンがどういう思想かということを非常に明確に表している図です。

 リバタリアンとは、ひと言でいってしまうと、個人の選択の自由を中心に置き、社会的な、要するにマ...

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