日本人が知らない自由主義の歴史~後編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「新自由主義」も「新保守主義」も元々の意味が全然違う?
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(12)「新自由主義」「新保守主義」とは
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
いままで見てきたように、ニューリベラリズム、ネオリベラリズム、リバタリアニズムは、それぞれ意味が全く異なる。にもかかわらず、いずれも日本語では「新自由主義」と訳されている。実は、そこに日本でこれらの違いがなかなか理解されない原因がある。さらに、同様の例として「新保守主義」と訳される「ニューライト」と「ネオコンサバティブ(ネオコン)」がある。実はこの言葉は、英米と大陸欧州でも意味が異なったりするのだが……。今回はそれぞれの言葉の混乱が招く悲喜劇について解説していく。(全13話中12話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分40秒
収録日:2022年7月25日
追加日:2023年10月13日
≪全文≫

●ニューリベラリズム、ネオリベラリズム、リバタリアニズムをまとめると…


―― 今見たように、リバタリアニズムについても、本当にいろいろな見方があるということです。

 ここであらためて、今まで見てきたニューリベラリズム、ネオリベラリズム、リバタリアニズムをまとめると、まずニューリベラリズムについては、人々が望ましい人生を送る(実質的自由を手に入れる)には、政府が経済に介入して大幅な再分配が必要だと主張する。場合によっては社会主義を支持することもある、ということですね。

柿埜 ええ。今の「アメリカ流のリベラル」は、基本的にこれ(ニューリベラリズム)です。

―― 日本でも、特に政治的に「リベラル」と言われる場合には、この色彩が強いですね。それに対してネオリベラリズムとは、社会主義と自由放任の両方を否定し、自由市場を活用しつつ、経済を安定させるためには福祉や独禁法などの制度が必要である、という中道派の考え方です。これは、どちらかというと今日の講義では、こういった思想グループというよりは戦後に行われた……。

柿埜 そうですね。どちらかというと、実践的な発想だったわけです。本人たちもさほど自分で「ネオリベラル」と名乗っていたわけではないのですが、それが途中から変なレッテル貼り、特に1990年代以降はレッテルになってしまって、よく分からない、とにかく「悪魔的な自由放任主義」のような意味になってしまっています。

―― 意味が分からない言葉になってしまったと。もともとは、先ほども先生が定義されたように「政府を万能と考えるか、政府は危ないと考えるか」程度の違いだということですね。

柿埜 それくらいのニュアンスですね。

―― そのような形でリベラルという言葉が混迷、混乱してきてしまったので、「リバタリアニズム」という言葉が出てきます。こちらは個人の自由を何よりも尊重し、それを妨げるような社会的規制にも経済的規制にも反対する。過激な立場は無政府資本主義だけれども、穏健派は古典的自由主義をとる。アメリカで「リベラル」という言葉が社会民主主義を指すようになったため、代わりに使われるようになったと。こういった整理になるのですね。

柿埜 非常に混乱が多いわけですが、整理すればだいたいそのようになります。


●「新自由主義」「新保守主義」は何...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
西郷南洲のリーダーシップ(1)薩長同盟と江戸城無血開城
江戸城無血開城で日本の危機を救った西郷隆盛の問題解決力
田口佳史
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(6)「学ぶ」ことの本質と道徳の問題
「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
組織心理学~「妬み」との上手な付き合い方(1)いい妬み・悪い妬み
いい妬みと悪い妬みの2種類がある…「嫉妬」の本質に迫る
山浦一保
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫