日本人が知らない自由主義の歴史~後編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ハイエク『隷従への道』…社会主義はなぜ弊害だらけなのか
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(8)ハイエクの『隷従への道』
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
リバタニアニズムの古典的著作はさまざまある中で、まずはハイエクの『隷従への道』をとり上げる。なぜ社会主義ではいけないのか、人間社会がどのようにして成り立っているかなど、思想家としてのハイエクの考え方を理解することで、自由主義社会にとって市場経済が必要であることがあらためて見えてくる。(全13話中8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分08秒
収録日:2022年7月25日
追加日:2023年9月15日
≪全文≫

●「計画経済は全体主義に陥る」


―― 今、ご説明いただいたように、リバタリアニズムといっても、さまざまな面で幅がかなりあるということです。それぞれ代表的な著作を見ていきたいと思います。

 まずは何回か名前が出たハイエクの『隷従への道』です。これは1944年の本ですね。

柿埜 ええ。これは第二次世界大戦中の本なのですが、この本を出版するのはとても難しかった。社会主義礼賛の時代だったので非常に難しかったという話があります。

 ハイエクのこの本は、前にも少し説明していますけれども、政府が社会主義計画経済を行うと極めて大きな権力を握ってしまう。要するに計画経済は、何を生産して何をするかということを全部決める、所得分配なども決定するわけだから、政府に極端な権力が集まる。政府に極端な権力が集まると、そこに極端な権力が欲しいと思う野心家(どうしようもないスターリンやポルポトのような人間)が集まってくる。そういった人たちが権力を握ると、社会は独裁国家になってしまう。だから、民主主義や法の支配といったものは社会主義経済の下では維持されない、ということを指摘した本です。

 「隷従への道」は、トクヴィルというフランスの自由主義の思想家が使った言葉です。政府が国民を隅から隅まで管理して、国民のためになることをしてあげるのだと言いながら、国民を完全に支配してしまうような社会が将来、訪れるのではないかということを危惧したトクヴィルの言葉なのです。ハイエクは「社会主義とはまさに、その隷従への道を辿ることになる」ということを指摘したのです。

 彼が批判したのはナチスだったわけですが、これはソ連にも該当しているわけですね。その後に出てきた社会主義の国家はおしなべて皆、最終的には全体主義の独裁国家になっています。ベネズエラやニカラグアは、最初は「民主的な社会主義」などといっていましたけれども、最終的に落ちついた場所を見ると、どう考えてもファシズム的な独裁国家です。ソ連とナチスは違うと皆が思っていた中で、どちらも実は全体主義で一緒なのだということをハイエクは指摘したわけです。


●社会主義では新しい知恵を生かせない


柿埜 そういった社会主義に対して、市場経済では全体を組織する計画当局のようなものは要らないですよね。皆さん、買い物に行くときに...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
老年が惨めと思われる4つの理由とは…キケロの論駁に学べ
本村凌二
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(1)米を食べる日本人と『分裂病と人類』
日本人の生きづらさの特徴は?~中井久夫著『分裂病と人類』
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(5)キリスト教と反ユダヤ思想
ユダヤ人迫害を生んだ「権力者・ユダヤ人・民衆」の三者関係
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(10)ユダヤ人特集~鶴見太郎先生
【10min解説】鶴見太郎先生《教養としてのユダヤ人の歴史》
テンミニッツ・アカデミー編集部
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(4)新規事業成功のポイント
新規ビジネスの立ち上げ方、伸ばし方、見切り方の具体例
水野道訓
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之