国際政治を見る視点~外交の現実と理想
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
中国の現場で感じた悲観論と楽観論
国際政治を見る視点~外交の現実と理想(3)悲観論と楽観論
小原雅博(東京大学名誉教授)
前回は国際政治における「現実主義」と「理想主義」の対比を見たが、今回は「悲観論」と「楽観論」を考える。世界が注視する中国の動向についても、現実主義:理想主義、悲観論:楽観論を組み合わせると、4種類のシナリオが出来上がるのだ。そこでは、複雑に絡み合う外交と内政の関係も大切な要素になる。(全6話中第3話)
時間:17分07秒
収録日:2019年7月25日
追加日:2020年2月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●悲観論に突き動かされる「安全保障」


 皆さん、こんにちは。今回は「悲観論」と「楽観論」について、話してみたいと思います。

 国際政治は、経験則上、どうしても悲観論に支配されやすいと思います。その上、メディアは悲観論を煽るようなネガティブ報道に偏る傾向があります。国内政治が国民の不満を外に向けようとして脅威や危機を煽ることもあります。冷戦終結直後の一時期を除いて、あらゆる「いま」において世界は危険に満ちていると言われ続けてきました。

 2013年12月に閣議決定された「国家安全保障戦略」では、安全保障環境が一層厳しさを増しており、日本は複雑かつ重大な国家安全保障上の課題に直面しているという指摘がなされています。こうした認識は、二つの構造的な変化、あるいは時代の潮流によって強まっていると思われます。

 第一に、グローバル化や技術革新に伴う負の側面です。例えば、国際テロ、大量破壊兵器の拡散、海洋や宇宙空間やサイバー空間におけるリスク、貧困や格差、感染症や気候変動、食糧・エネルギー・資源問題、さらには経済危機、金融危機、そして難民問題などです。

 第二に指摘できるのは、国家間の地政学的な対立と緊張です。例えば、北朝鮮の核・ミサイルの開発、中国の軍事力強化と海洋進出、ロシアのクリミア併合とウクライナ東部への介入、米中貿易戦争、アメリカとイランの対立、中国と台湾の関係などです。特に、貿易のみならず経済や軍事をめぐる覇権争いが米中間でも激化しているため、「新冷戦」の幕開けだという指摘もなされているほどです。

 このようにして、安全保障というのは悲観論に突き動かされる傾向があります。たしかに、北東アジアや中東・ペルシャ湾の動向は、地域の緊張を高め、軍事衝突の危険さえはらんでいます。歴史に根差す不信感や高まるナショナリズムは、和解や協力よりも反目や対立を生みがちです。


●平和と安全、経済繁栄を享受してきた東アジア


 しかし、その一方で日本を含む東アジア諸国は、歴史上戦争が最も少なく、そして大国間の戦争がない時代に生きているとも言えます。東アジアでは第二次大戦後、朝鮮戦争(1950年~1953年)、中印国境紛争(1962年)、ベトナム戦争(1964年から1975年)、中ソ国境紛争(1969年)、中越戦争(1979年)などが起きましたが、それ以後、大きな戦争は起きていないということです。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(10)ユダヤ人特集~鶴見太郎先生
【10min解説】鶴見太郎先生《教養としてのユダヤ人の歴史》
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(3)戦争終結シナリオと大統領選挙の行方
MAGA連合に亀裂!?イラン戦争が及ぼす大統領選への影響
東秀敏
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(序)『ばけばけ』と『神国日本』
ラフカディオ・ハーンの遺著『神国日本』の深い意義とは?
賴住光子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将