ヒューマン・ライツ・ウォッチ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
戦争、独裁、マイノリティを題材に人権保護の活動を行う
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(1)活動の3つの柱
土井香苗(国際 NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ 日本代表)
「人権保護の世界では、日本の力、特に日本政府や日本企業の力が求められている」と、国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表の土井香苗氏は話す。なぜ日本の力が必要なのか。土井氏が日本と世界の人権保護の現状を語る。(全3話中第1話)
時間:13分02秒
収録日:2016年3月3日
追加日:2016年6月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●戦争、独裁、マイノリティに対して人権を保護している


 国際人権NGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチの日本の代表をしている土井香苗と申します。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、本部がニューヨークにあり、90カ国で活動している世界最大級の人権団体です。40年ほど前に設立されました。日本には2009年に設立され、7年ほど活動を続けてきました。

 活動の題材は人権問題で、幅広く扱っています。大きく分けると3つの分野となります。一つ目は「戦争」です。戦争や紛争の下で、女性や子どもを含めた戦闘員でない人、兵士でない人が殺されるのを防ぐことです。二つ目は「独裁」です。近い国ですと北朝鮮や、その隣の中国などもやはり、政治的な多党制が実現しておらず、自由で公正な選挙が行われていない地域です。こうした地域では多くの場合、野党の弾圧、表現の自由の弾圧、団体・結社・集会の弾圧が多い傾向にあります。こうした問題への対処をしています。

 最後のカテゴリーとしては、いわゆる「マイノリティの保護、差別撤廃、平等の実現」といった分野があります。これは日本にも関係のあるところです。日本はありがたいことに戦争もないし、独裁国でもないのですが、マイノリティ、少数派は存在しています。そうした少数派の声は、民主主義の中でもなかなか聞いてもらえません。民主主義は多数決の世界で、多数派でない人の声は実現しにくいのです。そのために差別などを受けることがありますので、そうした方々の人権を実現する活動もしています。


●日本政府や日本企業の力を引き出すことが重要


 私は、7年前に東京の事務所をつくった際の設立メンバーです。ヒューマン・ライツ・ウォッチの東京事務所をつくろうと思った最大の理由は、世界にありアジアにもある戦争や独裁などのさまざまな人権問題を解決するために、日本の力、特に日本政府や日本企業の力が非常に重要だと考えたからです。日本の潜在力を重視し、これを引き出すことを目的につくられたのです。

 日本は経済力で世界第3位ですし、人口も多く、潜在的な政治力がある国だと思います。しかしながら、少なくとも人権の分野では、それに見合った政治力を発揮してきていません。世界では、人権・戦争・難民などさまざまな問題が今、深刻になっており、解決には急を要します。そこで、まだまだ伸びしろが大きな日本の力が必要...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
ロボットの「カンブリア爆発」時代へ電動化がもたらすもの
岡本浩
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司