ヒューマン・ライツ・ウォッチ
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
国連も動かした! 首相に働き掛け犯罪調査委員会設立
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(2)北朝鮮の人権問題
土井香苗(国際 NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ 日本代表)
拉致問題、政治犯収容所問題、言論統制。世界でも類を見ない人権蹂躙が行われている北朝鮮。その国に国際社会としてNOを突き付けるため、日本政府に働き掛けて、国連に北朝鮮の人権侵害を調査する犯罪調査特別独立委員会を設立させた「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表の土井香苗氏。第2話では、世界を動かしたヒューマン・ライツ・ウォッチの取り組みを紹介する。(全3話中第2話)
時間:14分04秒
収録日:2016年3月3日
追加日:2016年6月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●北朝鮮の人権侵害を2国間問題から世界的課題に


 この後は、具体的な仕事の内容と、われわれが解決しようとしている課題の内容など、二つほどご紹介したいと思います。

 まずは世界の状況ですが、活動している90カ国全てについて話しているといくら時間があっても足りませんので割愛しますが、こういった形(『夢がもてない──日本における社会的養護下の子どもたち──』)の調査報告書を、年間150冊以上、おおむね2、3日に一度、発行しています。全世界にいる約500名のスタッフが、日々、人権問題の調査を行って、報告書という形で発表しているのです。

 その90カ国のうちの一つが、先ほども申し上げた北朝鮮です。北朝鮮の問題については、われわれの活動を具体的にご説明したいと思います。北朝鮮には、拉致問題や政治犯収容所問題がありますが、他にも、表現の自由がなければ、当然公正な選挙もなく、あらゆる面で人権が蹂躙されている国なのです。しかし、それにもかかわらず、国際社会としては、北朝鮮に対しほとんど何の手も打ってこなかったのが現状です。

 例えば、ミサイルや核問題だと、安全保障理事会で、つい先日(3月2日)も北朝鮮に対する制裁を強化する決議が採択され、金融制裁をはじめ、その他非常に強い制裁が行われることになりましたが、この国際的な制裁は、安全保障に関するものです。一方で、人権問題も、国連にいわせれば、現代社会において他に類を見ないような深刻な人権侵害が長年続いているのですが、それにもかかわらず、国連にはほとんど何もしてこなかったという現実があります。他方、日本には拉致問題がありますので、2国間でなんとか問題を解決しようと動いてきていますが、ご存知の通り、小泉純一郎首相が拉致被害者の一部を取り戻して以来、何ら進展がない状況なのです。

 こういった国際社会の無関心と日本のデッドロック状態をなんとか変えたい、という思いから、私たち「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、北朝鮮の人権問題を、日本国と北朝鮮の2国間問題ではなく、核やミサイルと同じように、国際社会の一致した問題として圧力をかけていく方向に大きくシフトさせることに取り組んでおり、かなりの成果を上げています。


●安倍首相のリーダーシップで調査委員会設立を実現


 具体的に何をするかというと、国連や国連安全保障理事会が2国間問題を取...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑