●心理的安全性を高める「セキュアベースリーダーシップ」
今日はリーダーシップのお話をしたいので、心理的安全性を高めるリーダーシップとして「セキュアベースリーダーシップ」のご紹介を簡単にしたいと思います。
前回の(テンミニッツTV)収録の時に、心理的安全性を高めるためには「セキュアベースリーダーシップ」が必要だとお話をしました。セキュアベースリーダーシップとは何かというと、ここに書かれたように「守られているという感覚と安心感を与え、思いやりを示すと同時に、ものごとに励み、冒険し、挑戦を求める意欲とエネルギーの源となる」リーダーで、それを「セキュアベースリーダーシップ」と呼んでいます。
セキュアベースは、日本語にすると「安全基地」という概念で、愛着心理における安全基地の重要性を提唱したメアリー・エインスワース氏による概念です。子どもが発達する過程においては、このような安全基地が必要であり、こうしたものがないとなかなか物事に挑戦はできない。このように、「セキュアベース」という概念は非常に心理的安全性と近しいので、前回私はセキュアベースリーダーシップを紹介させていただいたわけです(編注:「チームパフォーマンスを高める心理的安全性」6~7話目参照)。
今の日本企業が忘れているのは、やはり挑戦よりも思いやりや安全でしょう。リーダーのリーダーシップ行動として、このようなところが少し置き去りにされてしまっているからこそ、ハラスメントや組織の中の不穏な行動が起きやすくなっている、と考えられるかと思っています。
前回は、セキュアベースリーダーシップの特性としていくつかを挙げさせていただきましたので、今回はセキュアベースリーダーシップのポイントをいくつか挙げています。これら1から12が、われわれの提唱したいセキュアベースリーダーシップの項目です。特にハラスメントを予防するという概念に大事なポイントは1と4だと思います。
1は「部下を人として受け入れる」といいというところです。部下のことをあまりいわゆる「評価」せず、まずは「ありのままの人間」として見ていこうという思考性のことをいっています。
4は「冷静でいる」です。これは前回も少しお話ししたかもしれませんが、プレッシャーを受け...