オバマ広島訪問
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
伊勢志摩サミットがかすむ17分間のオバマ広島演説の意味
オバマ広島訪問
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
オバマ大統領の広島訪問、17分間に及ぶ広島スピーチは、報道としての伊勢志摩サミットがかすむほどの目覚ましさであった。この広島訪問と名演説はどのような文脈に立って行われたものなのか。政治学者で慶応義塾大学大学院教授・曽根泰教氏が分析する。
時間:8分13秒
収録日:2016年6月1日
追加日:2016年6月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●オバマ広島演説の、政治的文脈を考えてみる


 サミットの報道が、バラク・オバマ大統領の広島訪問一色になったことでかすんでしまったと言われます。そこで、ある意味で「オバマ広島訪問」をどう位置付けるかですが、オバマ政権は大統領任期後半に差しかかり、その期間が短くなってきてからキューバやイランを訪れ、日本訪問の直前にはベトナムへ行っています。その後、広島に訪れたことからして、過去のアメリカが敵対したり、戦争を行ってきた相手との和解という文脈が考えられます。

 キューバの例でいうと、アメリカはなぜそんなに長く意固地にキューバと対立を続けてきたのか、という問題の解消が挙げられます。その文脈で見ていくと、広島訪問は、日本人にとっては大変画期的なことですが、オバマ政治の延長でいうと、過去の紛争や戦争の後始末、和解という文脈に位置付けられるのではないかと考えられるのです。

 また、もう一つの文脈があります。2009年にオバマ大統領は、プラハ演説を行っています。核廃絶についての有名な演説で、ノーベル平和賞の授賞理由にもなりました。今回の演説はこの演説の続きとして、つまりスタートラインでの演説と任期終了に近い時期に行われた最後の演説ということで、これらをひとくくりの文脈を考えることができると思うのです。


●広島訪問とはあくまでも核による悲惨な経験と向き合う慰霊であり誓い


 日本人はこぞってオバマの広島訪問を非常に歓迎しました。それを支持する数字として、共同通信で98パーセント、日経で92パーセントという非常に高い値が出ています。90パーセントを超えるということは、ほぼ全員と言っていいでしょう。それだけ好意的に受け止められたわけです。

 これらを考え合わせると、17分間のオバマ・スピーチは、よく練れたものでした。スピーチのうまい大統領としてはもう一人、ビル・クリントン氏がいます。2000年沖縄サミットで彼の行った「平和の礎」という演説も、なかなか上手でした。スピーチの上手な大統領は過去も今も存在するということですが、世界に発するときにはどういうスピーチが必要なのかという事例でもあります。

 日本では、「謝罪をすべきか否か」という話が出ていました。また、「オバマが広島に来たのだから、安倍さんは真珠湾に行くべきだ」という話もありました。しかし、これは日本の外務省が採...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(5)1人の力で歴史を変えた男たち
大義にもとづく「個人の決断と行動」が歴史を動かす…名将の教訓
門田隆将
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫