世界史の中のローマ史~ローマ史講座Ⅰ
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
古代ローマ人は祖国意識から「専守防衛」の考え方をもった
世界史の中のローマ史~ローマ史講座Ⅰ(3)“祖国”を発見したローマ人
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
「“祖国”というものを発見したのはローマ人ではなかったか」と、早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏は言う。それまで、祖国という観念はなかったというのだ。それはいったいどういうことか。ローマ人は私たちに何を残したのか。日本にはどう関係するのか。本村氏が語る国家論。(全3話中第3話)
時間:14分47秒
収録日:2016年7月21日
追加日:2016年12月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●祖国を発見したのはローマ人ではなかったか


 前回は、小さな都市国家から始まって、大きな覇権を握り、世界帝国を築いていったローマ人には、宗教的な誠実さ、敬虔さ、ラテン語では「ピエダス」があったというお話をしました。それから、ピエダスとは別に、慎ましさを意味する「レリギオ」という言葉があります。これは「レリジョン」、つまり宗教の語源になった言葉です。この言葉にシンボリックに表れているように、宗教的な敬虔さや慎ましさがローマ人の大きな特徴だったのです。しかし、ローマ人にはもう一つの特徴があります。今回は、それを取り上げたいと思います。

 私たち現代人は、国家や祖国という言葉を当たり前のように口にします。そうした言葉に反感を持つ風潮も無きにしもあらずですが、常識的に考えれば、国家や祖国を基本に考えなくてはならないでしょう。さらにグローバル化が進み、国家や国境が本当に意味をなさなくなれば別でしょうが、そうなるには、少なくともまだ数百年を要するのではないかと思われます。私たちが生きている限りでは、祖国を基本にして考える必要があるのです。

 では、祖国や国家という意識や観念が歴史の中でどのように生まれてきたのでしょうか。そのことを考えるとき、ローマ人の思ったこと、考えたこと、それに基づいて行動したことを振り返ることには意味があります。一言でいってしまえば、“祖国”というものを発見したのはローマ人ではなかったかと思うのです。


●ローマ人は自分たちの支配地を拡大していった


 これは、それ以前の時代と比べると分かることですが、例えば、ダレイオス大王の指揮の下、何十万人のペルシャ人たちが動員されてギリシャに攻め入ったことがありました。そのペルシャ人たちは、果たして祖国のために戦っていたのでしょうか。そうではありません。彼らは、国王から強制的に集められていたのです。それを拒否したら、自分自身や家族が大きな犠牲を払わなくてはなりませんでした。つまり、上から圧力を受けて、いやいや動員されていたのです。

 ギリシャのポリス(都市国家)はペルシャなどよりもずっと小さく、例えば、ペルシャ戦争でペルシャ人と戦った際、アテネには30万~40万人ほどの人口しかありませんでした。成人男子はおそらく10万人弱くらいで、後は老人、女性、子どもでした。そうしたところでは、確かに国を守るという意識...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
平安時代の歴史~「貴族道」と現代(1)日本の歴史における平安時代の意味
平安時代の意外な真実…貴族社会の華やかさの裏の激動と転換
関幸彦

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
現在の宇宙の姿(2)太陽系から星の世界へ
太陽系とその外に広がる星の世界との関係
岡村定矩
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫