イタリアの国民投票から何を学ぶか
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
イタリア国民投票のテーマ・憲法改正は日本も学ぶべき議論
イタリアの国民投票から何を学ぶか
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2016年12月4日、イタリアの国民投票が行われた。レンツィ首相が進退を賭けた憲法改正案は大差で否決され、レンツィ氏は引責辞任を表明した。これはイタリア政治固有の問題にはとどまらない、各方面に影響のある政治イシューだと、政治学者で慶應義塾大学大学院教授・曽根泰教氏は言う。
時間:12分19秒
収録日:2016年12月15日
追加日:2017年1月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●レンツィ首相の辞任に終わったイタリア国民投票の警告


 イタリアの国民投票の話をいたします。この投票でテーマにされたのは憲法改正でした。しかしながらマッテオ・レンツィ首相はこの結果に「政権を賭ける」と言い、事実上の信任投票にしてしまいました。それにより、国民投票にかなりの大差で負けた彼は、辞任せざるを得なくなったのです。

 このテンミニッツTVでは何度も「国民投票は怖い」ということを指摘してきました。イギリスのBREXITについても、イタリア政治についても、国民投票に判断を委ねると政権は倒れるということを、警告として申し上げてきました。

 日本では、憲法改正についてたやすく論じられていますが、実は衆参両院の3分の2だけではなく、国民投票があることがどこまで理解されているでしょうか。しかも、国民投票のハードルはかなり高い。これまでには、大阪維新の会が「大阪都構想」について住民投票を行って負けましたが、そのくらいしか例はありません。


●「猛獣」と呼ばれる国民投票に垣間見る4つの話題


 一般的には、国民の声を聞くのはいいことではないかとの議論があり、参加民主主義論者からも言われますが、不用意な国民投票は大変危ないと思った方がいいのです。

 国民投票一般について申し上げますと、古くから憲法問題に携わってきた憲法論議の中心的人物として、中山太郎さんがいます。自民党だけではなく、民進党の人までが彼のところへ参加して、国会で議論をしてきたわけです。この中山さんが「国民投票は猛獣である。猛獣使いは、まだ出ていない」と、大変示唆に富む言葉を言っていたそうです。私が直接聞いたわけではなく、憲法審査会のメンバーから聞きました。

 また、国民投票に訴えたり、あるいは総選挙で国民の支持を受けて政権基盤を強めるために頻繁に選挙を行ったりすることは、よく「プレビシット型政治」と言われます。小泉政権を「プレビシット型」と言った人もいますし、安倍政権をそう呼んだ人もいます。「Plebiscite(プレビシット)」はフランス語から出ている言葉で、フランス政治における「プレビシット型」は、どちらかというと大統領が国民に直接訴えて政権基盤を強めることを言います。ただ、「選挙に勝てば」という条件があり、最近ではそこで勝てなくなっているところに一つ問題があります。

 そこで今日は、イタリアの例から見る4...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
中国春秋戦国時代と始皇帝(4)秦と周辺国の激烈な戦い
秦と周辺国の激戦の真実に迫る…各国の兵力と秦の戦略とは?
鶴間和幸
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福(4)福田恆存とは誰か?
「一匹と九十九匹と」…政治と文学の関係を問うた福田恆存
浜崎洋介