●コンピュータを使うと目が疲れるのは、なぜ?
コンピュータビジョン症候群という言葉があります。これは欧米で使われている言葉で、日本ではVDT(visual Display Terminal)症候群という言い方もします。これは、パソコンなどの画面を長時間見て作業することで、いろいろな健康障害が引き起こされることを示す言葉です。長時間の作業で慢性的な頭痛や肩凝りも起こりますが、主として目の症状を指しています。
コンピュータは、(基本的に)画面上の文字を見ているのですが、そこにずっと目を合わせてしまうと、それは固定距離なので、目の中にある毛様体の筋肉が固定されてしまいます。そうすると、目の調節力が落ちて疲れやすくなります。
また最近では、画面の解像度も確かに向上していますが、それでもあれはドットの塊です。シャープさは、どうしても紙に印刷したものより落ちますし、チラチラもします。そうしたものを見ると、人間の目はピントを合わせようとして、焦点を前後に動かしてしまいます。つまり、コンピュータの画面よりも手前や奥にピントを合わせようと、無自覚の内にそうした努力をしてしまうということです。そうして目の疲れが蓄積するといわれています。
またコンピュータに限りませんが、人間はゲーム機やスマホの画面を見て集中すると、まばたきの回数が非常に減ってきます。正常な場合、人間はだいたい1分間に17~20回くらい、無意識にまばたきをします。しかし、じーっとコンピュータの画面を見ると、その回数が半分くらいに減ってしまうという調査があります。
そうすると、どうしても目が乾きます。知らない内に目が乾いているのです。目が乾くと、不快感だけでなく、目の表面を平滑にしている涙が不足し、目がデコボコします。そうすると視力が落ちてきますし、それによって疲れが蓄積されることになります。
●目に優しい作業環境を整えるには
さらにコンピュータの画面の特徴として、紙と違い、画面自体がピカピカ光ることが挙げられます。そのため、窓から来た太陽光や蛍光灯、LEDといった、画面外からの光が反射します。これがいわゆる映り込みで、画面が非常に見づらくなる原因です。
普段はあまり気にされていないと思いますが、画面の位置と照明の位置を考えて、光の反射が目に来ないようにすれば、目が非常に楽になることはあります。位置関係でいうと、画面があまり上の方にあるのは良くありません。人間は上の方を見ると、目を大きく開きます。そうすると、露出する目の面積が多くなって涙の蒸発が多くなります。その結果、目がよく乾くことになります。
映画館で、一番前の席に座って見上げて見ていると、かなり疲れます。あれは首も疲れますが、目も乾いて疲れます(だから真ん中くらいの席がちょうどいいでしょう)。コンピュータの画面も同じなので、水平か場合によってはちょっと下くらいに置くのが、目も乾きにくいし、一番良いといわれています。
また画面が汚いことも良くありません。ずっと使っていると、画面はどうしても汚くなります。電源がついているとよく分かりませんが、消すと汚れがよく見えます。そうした状態で、静電気を起こしにくいクロスなどを使って拭いてもらうと、見やすさが向上します。
明るさについてはどうでしょうか。両方の意見があると思いますが、暗い方が目に優しいのではという意見があるのは、あまりに明るいと刺激が強くて疲れるからです。逆に、周りの明るさより画面が暗いと、かえって疲れやすいといえるでしょう。画面が暗いと、ピントが合わせにくい感じがします。周りの光よりも画面が暗いと、ピントの位置を探ろうとして無意識に目の筋肉が動いてしまうからで、それで疲れることもあります。できれば部屋の光を少し落とす程度で、画面は普通の明るさにするというやり方が良いでしょう。また経験的に分かる方もいるでしょうが、日光が入っていると、画面を見ながらの作業はやりづらくなります。コンピュータを使う部屋では、カーテンをすることが必要です。
また疲れ目に関していえば、どこの部屋にもエアコンがあると思いますが、その風が顔に当たると、目が乾きます。ですので、部屋の中の場所や風向きなども考えた方が良いでしょう。またコンピュータと書類の両方を見ながら行う作業の場合、手前に書類を置いてコンピュータを見る、というやり方で進めることも多いと思います。これが頻繁になればもちろん疲れますし、目の移動だけでも疲れます。そのため、モニターの横にスタンドをつけて、そこに紙を置く、などした方が良いでしょう。そうすれば、視線は横の移動で済みますので、非常に楽になります。こうした工夫が大切です。
●老眼鏡は、複数用意するのが良い
また眼鏡についても、気を使いましょう。コンピュータと目の...