GRIPSの課題と人材育成
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
親が子どもの進路を決めるのは、人的資本の壮大な無駄
GRIPSの課題と人材育成(2)高度な人材の優遇策
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
最近の日本の若者は内向きになっていると言われるが、立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏は、発展途上国への留学はむしろ増えていると指摘する。日本の親はとかく安定した職業へと子どもの進路を勧めたがるが、それは人的資本の壮大な無駄だ。だからこそ白石氏は、若者に「親の言うことは聞くな」とアドバイスする。(全3話中第2話)
時間:8分35秒
収録日:2017年2月16日
追加日:2017年4月28日
≪全文≫

●日本人の留学先の変化


 日本の英語教育は面白くて、文法をきちんと教えています。だから、皆ある程度は読む力があります。しかし、語彙が足りません。そして英語を聞く耳が全然できていないのです。それから、聞いて英語が出てくるまでの回路もうまくできていないと言います。しかし、これは単純なトレーニングで改善するので、1年も(英語の環境に)漬かれば、普通に話せるようになります。

 またよく言われることですが、日本の若い人が今、留学しない(人が多い)。しかし、見ていると、どうもそれはアメリカをはじめとする先進国に留学しないということのようです。一種の自分探しのような、発展途上国への留学や遊学は増えているのです。

 そこからいっても、GRIPSにいるのは必ずしも先進国の学生だけではなく、圧倒的多数が発展途上国のエリートです。だから、そうした日本人の需要にも応えられるのではないかと思っています。

 しかし、なかなか日本の社会は難しい。全体として、日本の社会はだんだんと年を取ってきています。やはり日本の社会は、保守的だと思います。


●生産性向上には給与体系の変革が必要


 私には息子が2人いて、2人とも専門はコンピューターサイエンスです。上の(息子の)方はアメリカに住んでいて自分の会社を経営していますが、彼と話すと、やはり優秀なコンピューターサイエンティストを出すことは、日本の企業では無理だと言います。なぜかというと、理由は極めて単純で、給料が(アメリカの)半分以下だからです。

 カリフォルニアだったら、少し名前が知られているぐらいの人ならば最低でも年収で20万ドルはあります。日本で普通のエンジニアの給料だったら、700万円か800万円でしょう。そんな給料だったら、スタートアップでも行かないと彼は言います。そのあたりの給与体系から変えていかないといけないのではないかと思います。

 GRIPSでは、私が完全に人事をやりましたし、アジア経済研究所でも人事だけは私がやっていました。組織が大きいと、改革がなかなか大変なのはよく分かっていますが、やはり人事はトップがやらなければ駄目だと思います。


●人事のマネジメントがGRIPSを強くした


 ただ私自身は、人事に対して「慎重にも慎重に」というタイプです。相手は生の人間ですから、私が「どうかな?」と迷った時には採らないという方針がありました。特...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二