GRIPSの課題と人材育成
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親が子どもの進路を決めるのは、人的資本の壮大な無駄
GRIPSの課題と人材育成(2)高度な人材の優遇策
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
最近の日本の若者は内向きになっていると言われるが、立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏は、発展途上国への留学はむしろ増えていると指摘する。日本の親はとかく安定した職業へと子どもの進路を勧めたがるが、それは人的資本の壮大な無駄だ。だからこそ白石氏は、若者に「親の言うことは聞くな」とアドバイスする。(全3話中第2話)
時間:8分35秒
収録日:2017年2月16日
追加日:2017年4月28日
≪全文≫

●日本人の留学先の変化


 日本の英語教育は面白くて、文法をきちんと教えています。だから、皆ある程度は読む力があります。しかし、語彙が足りません。そして英語を聞く耳が全然できていないのです。それから、聞いて英語が出てくるまでの回路もうまくできていないと言います。しかし、これは単純なトレーニングで改善するので、1年も(英語の環境に)漬かれば、普通に話せるようになります。

 またよく言われることですが、日本の若い人が今、留学しない(人が多い)。しかし、見ていると、どうもそれはアメリカをはじめとする先進国に留学しないということのようです。一種の自分探しのような、発展途上国への留学や遊学は増えているのです。

 そこからいっても、GRIPSにいるのは必ずしも先進国の学生だけではなく、圧倒的多数が発展途上国のエリートです。だから、そうした日本人の需要にも応えられるのではないかと思っています。

 しかし、なかなか日本の社会は難しい。全体として、日本の社会はだんだんと年を取ってきています。やはり日本の社会は、保守的だと思います。


●生産性向上には給与体系の変革が必要


 私には息子が2人いて、2人とも専門はコンピューターサイエンスです。上の(息子の)方はアメリカに住んでいて自分の会社を経営していますが、彼と話すと、やはり優秀なコンピューターサイエンティストを出すことは、日本の企業では無理だと言います。なぜかというと、理由は極めて単純で、給料が(アメリカの)半分以下だからです。

 カリフォルニアだったら、少し名前が知られているぐらいの人ならば最低でも年収で20万ドルはあります。日本で普通のエンジニアの給料だったら、700万円か800万円でしょう。そんな給料だったら、スタートアップでも行かないと彼は言います。そのあたりの給与体系から変えていかないといけないのではないかと思います。

 GRIPSでは、私が完全に人事をやりましたし、アジア経済研究所でも人事だけは私がやっていました。組織が大きいと、改革がなかなか大変なのはよく分かっていますが、やはり人事はトップがやらなければ駄目だと思います。


●人事のマネジメントがGRIPSを強くした


 ただ私自身は、人事に対して「慎重にも慎重に」というタイプです。相手は生の人間ですから、私が「どうかな?」と迷った時には採らないという方針がありました。特...

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