GRIPSの課題と人材育成
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本こそ人材育成に投資が必要だ
GRIPSの課題と人材育成(3)技術革新と行政改革
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
GRIPSでは、目的意識を持った学生が学んでいるため、学習効果は高い。日本はもっと高等教育に投資すべきだが、依然として低いままだ。立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏は、政策運営に最先端のイノベーションを用い、そこで得られた節減部分を回せばよいと主張する。そのためにも、技術に通じた政策担当者が必要だ。(全3話中第3話)
時間:7分28秒
収録日:2017年2月16日
追加日:2017年4月29日
≪全文≫

●目的意識を持った学生は強い


 GRIPSの学生が、他の多くの大学生と一番違うのは、皆、目的意識を持っていることです。自分が何を知りたいか、を知っています。5年や10年ほどミドルキャリアになるまで役所で働いていますから、それは当然です。

 例えば、私が担当している学生は、ずっとテロ対策を研究していますが、彼女が一番関心を持っているのは、イスラムのテロ分析などではありません。そんなアカデミックなことをやってもしょうがない。そうではなく、テロリストとして逮捕された人間をいかにして教育し、「まっとうな人間」として社会に戻すかが、彼女の関心事なのです。

 そのときには、手に職を付けさせることから始めて、いろいろなことをやらせなければいけません。それを学びたいという、非常にはっきりした問題意識があるのです。

 そうすると、もうこちらが何も言わなくても、自分でどんどん勉強します。これはこういう風に考えて、こういうタイプの本を読めばいいということが分かっています。「読む本のリストを持ってこい」と言うと、数日後にはリストを持ってきます。私もそのリストにあるものはほとんど読んでいませんが、出版社を見れば何となく「この出版社は良い(本を出している)出版社だ」ということは知っていますから、これとこれを読めと言うくらいのアドバイスをするだけです。そうやって、自分でどんどん伸びていくのです。

 要するに、何について学びたいかを知っている学生は、そうではない学生よりもはるかに学ぶ速度が速いのです。実際その方が、読んだものは染み込みます。

 そのためには、1年か2年ほど一種の遊びの期間が必要です。といっても、ただ遊ばせるのではなく、何かやりたいことを実際にやらせてみるということです。そういう仕組みをつくれないのかなと思います。


●日本こそ人材育成に投資が必要だ


 だけど、それでもやはり、例えば100人採用して、1人300万円ほど補助するとなると、それだけで(単純に)3億円かかりますから、それなりのお金が必要だということです。しかし、そこはもう少し考えるべきところではないかという気がします。特に日本の場合、その最大の財産は人間ですから。

 財務省の人たちと話していると、彼らの言うことも非常によく分かりますが、それにしても、医療費のところやそれに関連する費用は、もう少し工夫できるのではな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(3)古書店巡りからネット書店へ
ネット古書店で便利に買える時代…「歴史探索」の意義とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー
国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?
垂秀夫
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史