GRIPSの課題と人材育成
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GRIPS(政策研究大学院大学)の課題は日本人学生の獲得
GRIPSの課題と人材育成(1)日本人学生を増やすために
白石隆(熊本県立大学特別栄誉教授)
立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏は、GRIPSの次なる課題を日本人学生の獲得強化だとする。GRIPSには60余の国から留学生が訪れるため、英語漬けの議論を通じて、徹底したトレーニングと人脈作りが可能だ。日本にいながら、1年で海外留学並みの成果が期待できるため、もっと日本人学生を増やしたいと考えている。(全3話中第1話)
時間:8分04秒
収録日:2017年2月16日
追加日:2017年4月25日
≪全文≫

●アジアに浸透したGRIPSのブランド


 ケネディスクールというのは、外交・安全保障でいうところのCSIS(戦略国際問題研究所)でしょう。こういうところは、まだ背中も見えないぐらい先を走っているので、偉そうなことはなかなか言えませんが、それでもある程度、アジアでのGRIPSはブランドになり始めたかなという気はします。

 GRIPSには外国から非常に優秀な学生が来ているのですが、そういう人たちと一緒に学ぼう、英語で学ぼうという日本人が非常に少ないことが今、最大の課題です。


●次なる課題は日本人学生の増加


 このあたりの事情は、日本の大学制度とも関係があります。日本の場合、さまざまな学部のある総合大学の人たちはその大学の大学院に行くことが多いのですが、アメリカではそういうことはほとんどありません。例えば、コーネル大学の学部生は、ある専門の勉強をするために大学院に行こうとすると、だいたいコーネルの大学院には行かず、他の大学の大学院に行くのです。

 ところが日本はそうならず、だいたい同じ学部のまま院に上がっていきます。そうすると、GRIPSのような大学院大学には、(他の大学を)卒業したばかりの学部生はあまり来ないのです。そもそも私は、そういう新卒の学生は取らないという方針だったので、それで一向に構わなかったのですが、その結果、日本人の学生数は非常に少なかったのです。

 今は、学部や修士課程を卒業し、役所や企業に入って7~8年働いた後、「自分が一生やりたい仕事はこういうことではない」と考えてそこを辞める若い人がずいぶんいます。その人たちが転身する上で、GRIPSが役立てると本当にとても良いことだと思っていますが、なかなかうまくいきません。

 例えば、GRIPSでPh.D.(博士号)を取って、国際機関に行ったり、あるいは研究者になったり、場合によったらエンジニアになったりなど、いろいろな進路が可能だと思います。(GRIPSを)そういう転身の場にしたいとずっと考えていたのですが、なかなかその部分がうまくいっていないのです。でもそう考えている人は、実際に会ってみるとたくさんいることが分かります。

 例えば、GRIPSで修士課程を1年、ないし博士課程を3年ほどやり、その後ワールドバンクやADB(アジア開発銀行)に行くという人は結構いるのです。それは日本人が多いのですが、だいたいそういうタイプの日本人です。アメリ...

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