日韓関係の悩ましさ
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
米国も日韓の仲を取り持とうと配慮
日韓関係の悩ましさ(3)関係硬直の背景と日韓条約50年に向けた進展の兆し
若宮啓文(元朝日新聞主筆)
 しばらく硬直状態を続けてきた日韓関係は、今年3月のハーグでの日米韓首脳会談を経て、ようやく進展の兆しを見せてきた。両国関係の難しさの背景となる韓国社会の変化や日本側の主張にも言及しつつ、問題点を読み解き、日韓条約締結50年に向けての展望を語る。(シリーズ3話中第3話)
時間:12分05秒
収録日:2014年4月28日
追加日:2014年5月15日
カテゴリー:

●日韓のすれ違い-「十分な謝罪をした」という日本側の言い分


 前回、日韓の関係が、韓国の民主化が進んだことによって特に1990年代、非常に好転した、日本の謝罪も進んだ、そういう動きについてお話しました。では、今日どうしてこれほど日韓関係がとげとげしくなってしまったのか、そこについて今回はお話したいと思います。

 一言で言うと、私は、日韓の間に次に述べるようなすれ違いがあるのではないか、という気がするのです。それは日本からすると「過去のことはもういいではないか」という感じです。一方、韓国からすると「いや、今こそしっかりしなければいけないのだ」「今こそきちんとしてほしい」という、このようなすれ違いがあるような気がします。

 「もういいではないか」というのは、前回も申し上げましたように、1990年代に村山談話をはじめ、さまざまな日本側の謝罪が行われたからです。特に、1998年には金大中大統領が日本に来て、小渕恵三総理大臣との首脳会談が行われた結果、日韓パートナーシップ共同宣言というのが出ました。そこで小渕さんが再度謝罪をし、金大中さんが「和解」という言葉を使って、これからの日韓関係を未来に向けて開いていこうということを、お互い宣言はしたわけです。ですから、日本とすれば、「もういいではないか」ということだと思います。


●日韓のすれ違い-民主化を背景にさらなる謝罪、補償を求める韓国側の主張


 ただ、韓国からすると、「それでは日本は本当に過去を謝罪してくれたのか」という見方があります。

 一つは、村山談話などが出るそばから、閣僚をはじめとして有力政治家の中から、過去についてあまり反省しない、過去の植民地支配は当然のことであったかのような発言が出てくる、そういうことへのいら立ちがあるわけですね。

 それと同時に、もう一つの理由は、前にも申し上げましたが、日韓条約というのは韓国では軍事政権が反日の機運を抑え込んで成立させた条約だったので、国民のほうからするといろいろと不満があった。ところが、韓国が民主化されたことによって、かつて弾圧された側の人々が表舞台に出てくる、あるいは当時の学生が中心の勢力になっているというようなことが挙げられます。つまり、韓国の側からすると、民主化されたことによって必ずしも日韓関係がうまくいくということではなくて、その条約で不十分だったもの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
中国共産党と人権問題(2)中国共産党は超法規的存在?
国家の上に存在する中国共産党はどのような組織なのか
橋爪大三郎
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
『孫子』を読む:行軍篇(5)敵の動向と窮寇の見極め
窮寇の見極め―慎重に、真摯に、冷静に敵を観察せよ
田口佳史