日韓関係の悩ましさ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
併合条約はいつから無効? 「もはや」異なる日韓の解釈
日韓関係の悩ましさ(1)いま噴き出す日韓基本条約の問題点
若宮啓文(元朝日新聞主筆)
日韓基本条約が結ばれて来年で満50年になるのだが、ここにきていくつもの問題点が噴出した。首脳会談もできないまま、足踏み状態を続ける日韓関係の難しさを考えるにあたり、日韓条約の意義とともに、そこに秘められていた問題点を明らかにする。(シリーズ3話中第1話)
時間:7分43秒
収録日:2013年11月8日
追加日:2014年4月24日
≪全文≫

●35年の植民地支配を清算した日韓基本条約


今回は日韓関係についてお話したいと思います。この頃日中ももちろんそうなのですが、
韓流ドラマ、韓流ブームなどですっかりよくなっていたはずの日韓関係が、特に政治外交の関係において、すっかり悪くなってしまいました。
朴槿恵大統領と安倍(晋三)さんという新しい指導者が、一昨年の暮れから去年にかけて生まれたわけですけれども、ついに去年は二人の首脳会談もできずに終わってしまいました。日韓の国交正常化以来、こんなことは非常に珍しいことなのですが、どうしてこんなことになってしまったのかについて、少し歴史的な経緯を踏まえてお話したいと思います。
実は来年2015年は、日韓基本条約ができてちょうど50年にあたる年になります。たまたまそれがまた戦後70年という節目でもあるのですが、この日韓基本条約というのは、1965年にできました。当時の朴正煕大統領、今の朴槿恵さんのお父さんが韓国の大統領だったときです。日本では佐藤栄作さんが総理大臣のときにできた条約です。
これは一言で言うと、かつての日本の植民地支配の時代が韓国で35年間続いたわけですが、それにけりをつける、清算するという内容の条約だったわけです。1965年といいますと、戦争が終わってちょうど20年、韓国にしてみれば植民地から解放されて20年ということなのですが、20年間そういうけりがつかなかったわけです。条約交渉自体、13年に及んでいます。非常に難しい交渉でした。

●経済支援で応じた韓国の賠償要求


一言で言うとけりをつけると申し上げたのですが、もう少し説明すると、要するに植民地時代のすべての法律等が無効であるということを確認したわけです。そして、ここが重要なのですが、韓国にとっては植民地時代の賠償を請求するわけですが、日本は経済協力という形で実質賠償に応じます。無償で3億ドル、有償で2億ドルの経済支援をするわけです。このほかに民間の経済協力もあるわけですけれども、そういう大きな経済支援をすることで韓国の経済発展に尽くす、というのが大きな中身です。
これは一方で、日本は韓国において、個人も国家も築いて持っていたいろいろな財産をすべて放棄するということを意味します。韓国もこれをもって日本に対する請求はすべて終了するという内容の協定も、この条約とセットでできたわけです。

●尾を引...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓