日韓関係の悩ましさ
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日韓関係の悩ましさ(2)90年代の和解に行きつくまで
若宮啓文(元朝日新聞主筆)
1965年に締結した日韓基本条約は、その後、日韓両国にさまざまな波紋を投げかけた。条約締結の背景となった国際情勢、その後に噴出した諸問題など、日韓条約に関連する複雑かつ多面的状況を解説する。(シリーズ3話中第2話)
時間:8分26秒
収録日:2013年11月8日
追加日:2014年4月24日
≪全文≫

●日韓それぞれの反対運動


前回、日韓条約というのはどういうものだったかというお話をしましたが、実は1965年に日韓条約が結ばれたとき、韓国でも日本でも大変な反対デモが起きました。特に韓国では激しい反対のデモが学生を中心に起きまして、ついに当時の朴正煕さんという大統領が非常戒厳令まで敷いたのです。これはクーデターによって作った軍事独裁政権ですから、そういうことができたのですが、非常戒厳令まで敷いて反対デモを抑えて通した条約だったのです。
なぜこれほど韓国で反対が強かったのか。それは一言で言えば、韓国にとってはこの条約が屈辱的であるという理由からでした。
この条約には、実は日本側の過去に対する謝罪もなければ反省の弁もなんら書き込まれていないのです。当時条約を作るにあたって、 椎名悦三郎さんという外務大臣がいたのですが、唯一、この方がソウルに行って空港で読み上げた声明の中で、「過去の不幸な一時期について苦痛を与えたことを反省する」という弁を述べて、それで韓国政府はよしとします。しかし、条約そのものにはそういう文言は一切ないのです。首脳会談も行われませんでした。
つまり、軍事政権下において国民の中では、「日本の謝罪もないのにお金欲しさでこういう条約を結ぶのか」という反対が強く、それを軍事独裁政権が抑えこんで作ったということだったわけです。
それから、一方の日本側ですが、確かにそういう反省の機運というのはそれほど大きくあったわけではないのです。当時は自民党の磐石の政権でした。そして、日本でも実は反対デモがあり、特に野党、あるいは労働組合、学生たちが反対したのは、その条約の相手が朝鮮半島の南半分の韓国であるということからでした。北朝鮮を置き去りにして韓国とだけそういう条約を作っていいのか。しかも、韓国は軍事政権ではないのか、いうことで反対がありました。

●条約に込められた戦略的事情とその限界


しかし、この両国の政府は、アメリカも後ろで非常に強くバックアップしたのですが、いろいろな問題はあっても北朝鮮という脅威を抱えていました。あるいは、激しい冷戦の時代ですから、そのバックにはソ連がおり、また朝鮮戦争では、北朝鮮を応援して戦争に参加した中国がバックにいました。そういう中で、韓国が経済力においても北朝鮮に目劣りするようなことでは困る。早く韓国を一人前の国にして、対抗し...

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