「日中」をめぐる保守の内部対立
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「日中」をめぐる保守の内部対立(3)今に至る二つの系譜と関係改善への期待
若宮啓文(元朝日新聞主筆)
 日中関係は最近になって進展どころか大きな危機を迎えた。その裏には国交正常化以来の自民党内の勢力地図の変化が絡んでいる。その大きな原因となった尖閣問題の経緯を解説しつつ、昨今みられる日中関係改善の兆しについて語る。(シリーズ3話中第3話)
時間:19分29秒
収録日:2014年4月28日
追加日:2014年5月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●田中、竹下派から宏池会へ-日中友好の系譜


 前回、日中国交正常化をめぐって、田中角栄総理大臣と、その前に総裁選で敗れた福田赳夫さんを支持するグループとの確執もあって、自民党の中が二分されるような状況になったというお話をしたと思います。

 それ以降、田中派の系統というのはその後竹下派に引き継がれ、総理大臣としては竹下登さんをはじめ、橋本龍太郎さんや小渕恵三さんが輩出されました。途中の細川護熙さんというのは自民党を飛び出た人ですけれども、この方ももとをただすと田中派だったのです。

 そういう流れがあり、そして、総理大臣ではありませんけれども、例えばこの方はもう現役ではありませんが、野中広務さんであるとか、今でも現役の方としては二階俊博さん、この人は今も日中友好の中心人物の一人ですけれども、こういう方が田中、竹下派の系譜でいるということです。

 一方で、田中さんと一緒に当時外務大臣として中国に行った大平正芳さんが後に首相となりますが、この系譜も日中を大事にします。この系譜には総理大臣としては宮澤喜一さんがおられましたし、その後、自民党総裁、衆議院議長にもなった河野洋平さん、あるいは日中関係で大きな役割をいまだに果たしている加藤紘一さん、これらの方々は引退しましたけれども、日中を大事にする系譜でいるわけです。

 今はこの派閥は宏池会と言いますが、岸田文雄外務大臣や、農水大臣の林芳正さん、そういう方が派閥の系統としては引き継いでいるということになります。


●様変わりした自民党内の派閥力学-優勢を誇る岸、福田派の流れ


 一方で、福田さん本人というよりも、当時、福田さんを支持した人たちの中には、強烈に日中国交正常化に反対した人が多かったわけです。この派閥はもともと岸信介さんの流れですが、この流れとしては、その後総理大臣になった森喜朗さん、小泉純一郎さん、それから安倍晋三さん、今回二度目ですが、小泉さんのあと安倍さんが一度目の総理をやり、福田康夫さんも1年やっています。こういう系統になります。

 この中で、森さんは割と全方位的で、中国から見てそれほど印象が悪い人ではないと思います。また、福田康夫さんは、日中関係では非常に貢献したということで、今も中国からは大変高く評価されています。しかし、5年半と長く続いた小泉さんは、靖国参拝をずっとやり続けたというこ...

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