破壊のメカニズム「フィンテック」と金融ビジネスの行方
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
フィンテックは金融業界をどのように変えるか
破壊のメカニズム「フィンテック」と金融ビジネスの行方
伊藤元重(東京大学名誉教授)
フィンテックは今の銀行や大手金融機関を破壊するメカニズムとして見ることができるかもしれない。そして10年後、いや5年後には金融に大変化が訪れているだろう、と語る東京大学名誉教授で学習院大学国際社会科学部教授の伊藤元重氏。それはなぜか。注目のキーワードを挙げながら、その理由と背景について解説する。
時間:16分25秒
収録日:2017年4月25日
追加日:2017年6月1日
≪全文≫

●ITの進展で全ての枠組みが変わる時代の金融


 AIやIoT、クラウドコンピューティングなど、さまざまな新しい情報技術が次々に出現し、この変化で影響を受けないところはないといわれています。

 医療はビッグデータからいろいろな資料を使えるようになるでしょうし、e-コマース(電子商取引)は最も身近に非常な勢いで変化しています。労働市場もクラウドソーシングで大きく変わる可能性を持っていますし、教育からエンターテインメントまで、いろいろなものが変わりつつあります。

 その中で、金融の変化も注目されています。IT技術が進むことにより、テクノロジーとファイナンス(金融)が合体する中で「フィンテック」というものが出てきたからです。

 確かにそういうことはいろいろと起こっています。例えば、日本に観光に来る中国人の大半が「アリペイ」を使い始めています。最近の中国人観光客に聞くと、「両替もキャッシュも要らない。アリペイさえあれば何でもできる」のだそうです。私は先日インドへ行きましたが、インドもやはりそういう流れになっています。今の政権が高額紙幣の廃止というダイナミックな政策を行ったため、多くの人がアリペイに似たシステムを用いていて、携帯電話やスマートフォンで払うような仕組みになっています。

 こういう技術がさらに進化してくると、ブロックチェーン(一度記録されると改ざんできない記録技術のこと)を使うようになり、金融システムとは別のところで、中央銀行の指示とも独立して、いろいろな決済や送金ができるようになってきます。金融はもともと情報化が非常に進んでいる業界ですから、大きく変わることは間違いないのですが、どちらの方向に変わっていくのかが非常に読みにくい状況にあります。今日はそれを、やや異なる視点からお話ししたいと思います。


●フィンテックを表す二つのコメント


 フィンテックに関連して、よくいろいろな本などに引用されるコメントが二つあります。

 一つは、1990年代中頃にビル・ゲイツ氏が言ったことで、「たぶん銀行は要らなくなるだろう。残るのは銀行機能だ」というものです。この言葉を推察すると、「銀行が行っている機能をITが代替するかもしれない。その時、今の銀行組織は必要なくなるかもしれない」というような意味で、今もよく引用されています。

 もう一つは、JPモルガン・チェースのジェイミ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛

人気の講義ランキングTOP10
歌舞伎はスゴイ(3)歌舞伎のサバイバル術(前編)
草創期からの度重なる「規制」と「スキャンダル」を超えて
堀口茉純
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
健診結果から考える健康管理・新5カ条(6)メタボを侮ってはいけない
メタボリックシンドロームを単なる肥満と侮ってはいけない
野口緑
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典