老子学と老子道~2冊の著書に込めた思い
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「老子」を理論と実践で理解するための2冊の本
老子学と老子道~2冊の著書に込めた思い
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏は、50年来の念願であった2冊の新著を上梓した。25歳の時に生死をさまよった田口氏を救った『老子』について、『道徳経』を分かりやすく解説した書物と、その実践に関する書物である。この「老子学」と「老子道」という、理論と実践の二つを踏まえてこそ、はじめて老荘思想の神髄が理解される。
時間:10分01秒
収録日:2017年5月16日
追加日:2017年6月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●『老子』を読むと、安堵感が生まれる


 今回、私の長年の希望、願いが一つ叶いました。私は25歳の時、タイのバンコクで2頭の水牛の角に串刺しにされ、それこそあの世へ行って帰ってくる、というようなことを繰り返すことになりました。かろうじてこの世にまた帰ってくることができたのですが、それは奇跡的だと皆さん仰ってくださいます。

 その頃、在留邦人の方が、私に本を差し入れてくれました。病院で私が退屈しているだろうと思われたのです。最初は、元気が出るようにと、威勢の良い本を貸してくださったのですが、すぐに本の種類も尽きてしまったのでしょう。あまり思い悩むような本であってもいけないということで、差し入れてくれた本の中に『論語』と『老子』が入っていました。ほとんど解説もない、原文そのものの『老子』でした。

 しかし、これがとても身にしみて、不思議と読み進めることができました。あれほど書物を熟読したことはありませんでした。毎日、毎時間、『老子』を開いて読んで過ごしました。なぜでしょうか。『老子』を読めば、心が落ち着くからです。死の恐怖や今後の不安など、消極的な考え方ばかりが押し寄せてきていたのですが、『老子』を読むと、どことなく安堵感、安心感が生まれたのです。


●『道徳経』を50年間、何百回、何千回と読んできた


 そこで私の念願は、私を救ってくれた『老子』という本を、皆さんに分かりやすく解説した本を出す、ということになりました。難解だと言われることの多い『老子』を、皆さんによく親しんでもらえるようにしたい、と思っていたのです。しかしこれまで、なかなかタイミングが合わず、それは叶えられずにいました。ところが、25歳のあの出来事以来、50年目にあたる今年、念願の本を出すことができました。

 それが『ビジネスリーダーのための老子「道徳経」講義』です。私は『道徳経』という本を50年間、何百回、何千回と読んできましたが、飽きることはありません。その時の自分の心境によって、「こんなことが書いてあったのか」と、いつも新鮮に読むことができる本なのです。さらに、真理というものは心を打ちます。悩みや問題のヒントとなり、その時々で、私を助けてくれました。20年、30年と読んでいくと、「こういう風に読めば、もっと面白いのではないか」と、新たな読み方が生まれてきて、なおさら面白く感じられたのです。どれ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(9)ウェルビーイングと東洋思想
ウェルビーイングを東洋思想でどう考えるか?…大事な二つの教え
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ