●国の仕事は税金を取ることではなく、国を豊かにすること
---- 澤田さんのユニークなところは、政治についてもですが、民を豊かにするといい代官で、民から収奪すると悪い代官だと言うところですね。
澤田 僕はそう思います。だいたい悪代官というのは、昔の本を読むと、いっぱい税金を取るではないですか。
---- それは、今の話でいうと、所得税が上がります、相続税も上がります、消費税も上がります、そして、あらゆる控除がなくなります、ということですよね。結構、悪代官そのものになっているのかなと思いますが、いかがですか?
澤田 そうなりつつあると思います。けれども、悪代官の国が栄えた試しはあまりないですし、栄えてもじわじわと落ちてきますよね。だって国民の年貢をいっぱい取るわけですから。
---- 年貢をいっぱい取ったら悪代官ですよね。
澤田 あまり取りすぎるとそうですね。国を治めるためには、ある程度は仕方ないと思います。けれども、何でも「過ぎたるは及ばざるが如し」で、やはり取りすぎると悪代官だと思います。
---- 五公五民で限界だと思うのです。その限界を今、超え始めています。
澤田 超えると、農民だったら逃げますね。
---- 逃散するか一揆ですよね。
澤田 それか、新しいことを考えて、努力しなくなりますよね。
---- 民を味方にしたほうが、国は栄えますよね。
澤田 僕はそう思います。いかに民を豊かにするか。経済力もそうですし、文化もそうですが、それを上げていくためにお手伝いすることが国の仕事であって、税金を取ることが仕事ではありません。最低限の税金は必要だけれども、どんどん税金を上げてやっていくことは、僕は間違いだと思います。こういうことをあまり言うと嫌われるかもわかりませんけれども。
---- 松下幸之助さんが言っていた「無税国家」ですが、僕は澤田さんにその話を聞いたとき、まったく同じ中身だなと感じました。彼が一貫して言い続けていたことは、「民を豊かにしてあげれば、結果として国は栄えていく」ということでした。「民からたくさんむしり取ると、逃げてしまう、国として滅んでいく」ということです。彼の本にはいろいろなことが書いてありますが、エッセンスはそこです。表現が少し変わりタイトルも違うけれども、澤田さんの言っていることと中身は同じで、彼が言わんとしていたことはそういうことだったのだと、今、非常にわかりやすいと思い聞いていました。
●今の行政に欠けているのは稼ぐためのシステム
澤田 僕は、できる、できないは置いておいて、経済力をつける、もしくは産業を発達させる、そして国を豊かにすることが大事だと思います。ここまで日本は頑張ってきたわけだし、これからも頑張らなくてはいけない。それと当時に税金を減らすことです。そうすると国民も喜ぶ。だから、税金をどんどん減らす。極端にはゼロにしてもいいと思います。もしそれがだめでも、10パーセントか5パーセントにする。
では、その財源をどうするかですが、国を豊かにすれば、所得税や、企業の税金が増えていきます。ただ、それだけでは足らないので、やはり国が稼ぐことです。
今、国で一番良くないのは、行政にはすばらしく優秀な方が多いけれども、その方々は稼ぐことを教えられていません。税金を取ることと使うことは教えられています。それゆえ、行政が、いかに国に分配して、いかに使っていくか、もしくはいかに税金を取るかを考えることはできます。
しかし、一つ、稼ぐことが欠けているのです。稼ぎ方はいろいろあると思いますが、国が稼げば、税金は少なくなるではないですか。そうして税金を安くしていく。僕は、それが立派な国家だと思います。
今の行政の一番の問題点は、税金を取ることと使うことはできても、稼ぐことは考えなくてもいいというシステムになっているところです。全部がそうではないかもしれませんが、ここが一つ欠落しています。ここさえ機能すれば、税金は増やさなくてもいいのです。
欧米がどんどん税金を上げるから、消費税を上げるからと、欧米のまねをする必要はないと思います。歴史は今作られているところなのだから。欧米が本当に正しければ、まねをしてもいい。しかし、欧米が正しくないと思ったら、まねをする必要はないと思います。
確かに今、世界的には消費税が上がる傾向がありますから、それは別に悪いとは言いません。しかし、僕は詳しくは知らないけれども、5パーセントを10パーセントぐらいまでなら、まだしも、20何パーセント取っているギリシャにしろ、スペインにしろ、豊かかと言うと、決して豊かとは言えないではないですか。日本の消費税の倍を取っているのに、です。まだ日本のほうが豊かですよ。
---- 僕の実感でも、そんな感じがします。スウェーデンも北欧も、税金...