トランプ政権とソーシャルメディア
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ソーシャルメディアの負の側面を活用したトランプ陣営
トランプ政権とソーシャルメディア(2)負の側面の利用
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
政治経験がなく、誰にも期待されていなかったトランプ氏が、大統領選挙に勝利できた大きな要因は、ソーシャルメディア戦略にある。元海上自衛隊佐世保地方総監で、一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員を務める吉田正紀氏は、トランプ氏がソーシャルメディアの持つ負の側面を、確信犯的に利用してきたと指摘する。(全3話中第2話)
時間:9分18秒
収録日:2017年2月24日
追加日:2017年8月18日
≪全文≫

●トランプ陣営は少ない資金で大きな広告効果を生み出した


 政治経験を持たず、本戦に出場できるはずがないと誰もが思っていたドナルド・トランプ候補が、共和党大統領候補の指名を勝ち得た大きな要因は、プラットフォームとしてのソーシャルメディアを、うまく活用してきたことにありました。

 大統領選挙直前、10月末時点でのトランプ陣営の資金調達額は、政治資金団体の調達額を含めて、5.1億ドルでした。これに対して、ヒラリー・クリントン陣営は10.7億ドルです。トランプ陣営は、この点においては大きく後れを取っていたのです。高額なテレビ広告では、資金調達額で勝るクリントン陣営に、及びません。

 そこでトランプ陣営は、オンラインでの政治広告に頼るのではなく、知名度と暴言を武器に、ツイッターやインスタグラムを通じて、頻繁に情報発信を行いました。今や1,200万人を超えるフォロワーが、トランプ氏の発言を一気に拡散すれば、大手メディアも追随してそれを報道します。こうして、トランプ氏優位のニュースサイクルが作り出されました。少ない資金で大きな広告効果を生み出すことに成功したのです。米リサーチ会社の試算によると、一昨年(2015年)5月から1年間で、トランプ氏がお金をかけることなく得た広告効果は、28億ドルに上ると言われています。


●ニュースサイクルが短縮化されている


 さらにトランプ陣営は、ソーシャルメディアの負の側面を確信犯的に活用しました。ソーシャルメディアの負の側面とは、何でしょうか。簡単に説明します。これまで話してきたように、ソーシャルメディアが現代の選挙キャンペーンに欠かせないものとなる一方、さまざまな問題が生じています。

 第1に、ネット空間における情報過多と、ニュースサイクルの短縮化の問題です。インターネットやニュース専門チャンネルの普及によって、ニュースサイクルは24時間化しました。さらに、報道機関のみならず、候補者や利害関係者、ブロガーといった第三者も情報を積極的に発信し、それがソーシャルメディアを通じて一気に拡散するため、ほんの数時間前のニュースもすぐに陳腐化してしまいます。

 2012年の大統領選挙時と比べても、ニュースを含む選挙関連コンテンツは増加しており、その生産サイクルも著しく短縮化しています。その結果、確たる証拠に基づかない情報までもが、しばしばネット上に拡散されるよう...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治