トランプ政権とソーシャルメディア
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ロシアは米大統領選挙でどのような情報工作を行ったのか?
トランプ政権とソーシャルメディア(3)ロシアの情報工作
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
元海上自衛隊佐世保地方総監で、一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員を務める吉田正紀氏のワシントンでの活動における同志で、ロシアの若手研究家であるAmerican Security Project エネルギー安全保障プログラム・ジュニアフェローの東秀敏氏が、2016年アメリカ大統領戦に対して、ロシアが行った情報工作について解説する。ロシアはアメリカの言論の自由と民主主義を逆手に取って、サイバー空間上でさまざまな情報戦を繰り広げた。(全3話中第3話)
時間:11分50秒
収録日:2017年2月24日
追加日:2017年8月23日
≪全文≫

●ロシアは情報戦を利用して、アメリカを侵略しようとした


 American Security Project エネルギー安全保障プログラム・ジュニアフェローの東秀敏です。ロシアが2016年のアメリカの大統領選挙に対して、どのような情報工作を行ったかを説明します。

 ロシアは情報戦を利用して、アメリカを侵略しようとしました。目的は、米国の民主主義を弱体化させるということ、これに尽きます。その手段は、ジャーナリストを含む、広義の特殊部隊を用いました。広義の特殊部隊と、アメリカ国内における反体制派を利用することによって、ロシアは情報戦を繰り広げました。情報戦の媒体は、サイバー空間だけです。

 ロシアの情報戦略は、4つの段階に分かれていました。第1段階がハッキング、第2段階が暴露、第3段階がネット上での情報工作、そして第4段階が、クレムリンの指示する候補へのサポートです。


●暴露する価値のある情報がハッキングされた


 第1段階目のハッキングですが、米国の民主党本部が主なターゲットとなりました。目的は、暴露する価値がある情報を盗むことです。当時、ヒラリー・クリントン氏はeメール疑惑で物議を醸していました。このタイミングに乗じて、ロシアはネット上で暗躍するNGOに指示を出します。Fancy BearとCozy BearというNGOは、ロシアの諜報機関と連携している組織です。ロシアの諜報機関がこのNGOにダイレクトに指示をして、NGOが代わりにハッキングを行った、という構図になります。面白いことに、ロシアのハッカーは一般市民からリクルートされていました。

 第2段階目は、暴露です。戦略的に暴露を行うことによって、特定の候補に対する一般市民の信頼を弱体化させることが目的でした。やり玉に挙げられたのが、クリントン候補です。ここで活躍したのが、Fancy BearとCozy Bearです。彼らは、WikiLeaksや、今回の大統領選のために特別に作られたDC LeaksやGuccifer 2.0といったサイトを利用して、暴露を行いました。

 暴露のタイミングもかなり戦略的でした。クリントン氏が民主党の候補に支持されたときや、また大統領選1カ月前の10月に、彼女のeメールが大量に暴露されたのです。この結果、選挙の10日ぐらい前に、FBIがクリントン氏を再調査することになり、それが響いて、彼女の支持が没落してしまいます。


●プロパガンダにはソーシャルメディアが用いられた


 第3段階目...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏