トランプ政権の現状
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ワシントンD.C.で実際に見聞きしたトランプ政権の現状
トランプ政権の現状(1)アメリカ政治の基本構図の変化
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
元海上自衛隊佐世保地方総監で、一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員を務める吉田正紀氏が、ワシントンD.C.から見たトランプ政権の現状について解説する。現在のアメリカ政治は、従来の対立構図である共和党対民主党に加えて、既存政党への批判勢力であるトランプ党を含めた、3党構造で見る必要がある。(全2話中第1話)
時間:13分28秒
収録日:2017年6月9日
追加日:2017年8月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●トランプ新政権で変わるもの、変わらないもの、変えるべきもの


 アメリカ大統領選挙後まもなく、11月終わりから12月にかけて、私が所属する日本戦略研究フォーラムの機関誌に、「トランプ新政権で「変わるもの」、「変わらないもの」、「変えるもの」」という題名の論文を寄稿しました。

 「変わるもの」とは、4,000人にも及ぶ大統領任命の人事、いわゆるポリティカルアポインティーズです。これは、民主党から共和党へ、政権が8年ぶりに移行する際に生じる、アメリカの典型的な国内政治構造上の変化です。

 次に、「変わらないもの」とは、わが国の官僚に該当する、政権を支える専門家集団です。その文民職員の数は約300万人で、軍人の数は約150万人です。国防省にはこうした専門的な職員が200万人います。したがって、特に国防省を中心とした、アメリカの安全保障上の課題認識は、変化しないものと考えていました。

 最後に、「変えるもの」とは、正確には「変わるべきもの」と表現すべきでしょう。すなわち、ドナルド・トランプ大統領に対する、周囲の人々の態度の変化です。選挙中、共和党議員や在野の共和党系の安全保障専門家は、トランプ氏を批判してきました。トランプ氏の大統領就任後、彼らの態度は変化すべきものでした。

 こうしたことから、論文の最後には、第15代統合参謀本部議長リチャード・マイヤーズ元空軍大将の、次の発言を引用しました。「大統領選挙中のトランプ氏のレトリックは、割り引く必要がある。誰が大統領になろうとも、1月20日のパレードが終わり、オーバルオフィス(大統領執務室)に座った瞬間から、現実に直面し、大統領の責任の重さによって、レトリックは変更されるだろう」。そして、私はマイヤーズ大将の言葉を信じたいと思うし、共和党や安全保障専門家の国益に沿った良識にも期待したい、と論文を結んだのです。


●日本におけるトランプ政権のイメージは必ずしも正確ではない


 4月末には政権誕生から100日を過ぎ、まもなく政権誕生から、半年が過ぎようとしています。元来この期間は、メディアと新政権のハネムーンでした。新政権への期待を込めて、政権が落ち着くまでは、メディアは批判を控えるはずでした。しかし、さまざまな要因によって、政権発足当初から、もっと言えば、政権発足前から、アメリカの主要メディアは一貫して新政権に対して批判的です。連日連...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
いま夏目漱石の前期三部作を読む(8)『門』の世界観と日本の近代化
伊藤博文暗殺…日本近代化で本当にいいことがあったのか
與那覇潤
「江戸のメディア王」蔦屋重三郎の生涯(8)大首絵の成功と蔦重の最期
謎の絵師・東洲斎写楽を「役者絵」で起用した蔦重の思惑
堀口茉純
『タテ社会の人間関係』と文明論(8)タテ社会の構造改革を議論する
ヒントは幕末期の処士横議!?…タテ社会の構造改革に向けて
與那覇潤
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二