駅前大学の限界
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
欧米一流校のレジデンシャルカレッジ機能をどう代替する?
駅前大学の限界
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
日本の大学は今、都市部に回帰する「駅前大学」化が進んでいる。しかし、このままでは、グローバル人材の育成能力で欧米の大学にかなわない、と曽根泰教氏は警鐘を鳴らす。では、日本の大学にはいったい何が足りないと言うのか。そして、欧米有力大学の教育システムはどこが優れているのか。グローバル人材を育成するためのヒントを曽根氏が縦横に語る。
時間:16分30秒
収録日:2014年3月24日
追加日:2014年5月29日
≪全文≫

●今、特に東京で大学が「駅前」に集中し始めている


今日は、「駅前大学の限界」というテーマでお話しいたします。日本の教育や学力の問題、あるいは大学の競争力の問題について、しばしば話題になりますが、今日、私は主として学部レベルの教育についてお話しいたします。大学院についてはまたあらためて論じるつもりです。
「駅前留学」というキャッチコピーの語学学校がありましたが、日本では今、特に東京で、大学が駅前に集中し始めています。これを私は「駅前大学」と呼んでいます。社会人の大学の場合には、特に夜間は「駅前大学」である必要があると思いますが、普通の学部も、郊外にあったものが都心に回帰してきています。
それはなぜなのか。一言で言えば、日本の大学は今、都市インフラを外部経済として使うことで成り立っているのです。都市インフラを外部経済として使えば、例えばホテルも劇場もショッピングセンターも自分で持つ必要がありません。通学が便利な上に、大学の良さということではありませんが、都会の良さ、都会の魅力を享受できます。

●「駅前大学」の対比概念は「寮を持っている大学」


では、この対比概念はいったい何でしょうか。たとえば、アメリカの大学はほとんどが田舎にあるわけですが、「都市」の大学に対比する概念は、「田舎」なのでしょうか。そうではありません。つまり、都心からの距離を、大学の価値を測る基準にすることへの反省を述べているのです。
例えば、オックスフォード大学やケンブリッジ大学は、ロンドンから1時間以上かかるところにありますが、大学の価値がロンドンからの距離で測られているわけではないのです。あるいはイェール大学やプリンストン大学は、ニューヨークから1時間以上、電車や自動車に乗って行かなくてはなりません。ハーバード大学は、ボストンの街中からはそれほど遠くなく、地下鉄で移動できる距離にありますが、ニューヨークやワシントンからは飛行機に乗って行く必要があります。今の日本の大学に近いような都心にある大学と言えば、コロンビア大学やニューヨーク大学のようにマンハッタンの中にある大学なのだろうと思います。しかし、アメリカやイギリスなどの大学がみんなマンハッタンのような都会にあるのかと言えば、そうではないのです。
では、「駅前大学」の対比概念は何かと言えば、「田舎」ということではなく、ここでは「寮を持っ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(3)国司と郡司のつきあい
郡司の妻たちと宴会!?……国司・大原真人今城へのはなむけの歌に記された「媚態表現」の真相と人心掌握術
上野誠
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治