●ビットコインは新しいタイプのデジタル通貨である
今回は、仮想通貨およびブロックチェーンの基本事項について解説します。2017年9月現在、1,000種類以上の仮想通貨が存在すると言われています。主な仮想通貨は、表の通りです。よく耳にするビットコインやイーサリアム、あるいはリップルといった仮想通貨が存在し、それぞれに特徴があります。
代表的な仮想通貨として、ビットコインについて見てみましょう。ビットコインは、政府や企業が発行したものではなく、インターネット上で記録される暗号技術を使った、新しいタイプのデジタル通貨です。電子的に決済を行うため、インターネット経由で送金や決済が可能です。そのため、例えば地球の裏側にいる遠く離れた相手にでも、短時間かつ低コストで送金できるという特徴があります。
仮想通貨は通貨と呼ばれていますが、法定通貨のように何らかの裏付けがあるわけではなく、また実体もありません。ただの電磁的な記録です。暗号技術を用いているということから、英語圏では暗号通貨(Crypto Currency、クリプトカレンシー)と呼ばれることも多くなっています。
●発行を行う国、流通を管理する組織が存在しない
ビットコインと、円やドルのような法定通貨との最も大きな違いは、ビットコインには通貨を管理する中央銀行が存在しないということです。つまり、ビットコインには発行を行う国、または流通を管理する組織が存在しません。中央組織の管理なしに、こうしたことを実現する仕組みのことを「ブロックチェーン」、もしくは「分散型台帳」と呼びます。
図のように、従来の通貨は、中央銀行が管理するサーバー上で集中的に管理され、送金取引は、そのサーバー上で一括して承認されます。これに対して分散型台帳は、インターネット上の多数のサーバーで同じ台帳を共有し、分散的に合意形成を行います。そうすることで送金取引の承認を行い、参加者同士が直接送金できるようになっているのです。つまり、仮想通貨だけではなく、各種の権利の所在や移転を記録することができる技術なのです。ビットコインが、ブロックチェーンと呼ばれる技術的な仕組みの上に構築された、発行者の存在しない通貨だとすると、ブロックチェーンは、図のような分散型台帳を実現するための一種のアーキテクチャだといえるでしょう。
コンピュータの世界では1980年代にパーソ...