●フィンテックは「ファイナンス」と「テクノロジー」の造語
本レクチャーは、三菱UFJフィナンシャル・グループ・デジタル企画部に所属しております、藤井達人が担当します。今回はフィンテックとは何かについて解説します。
フィンテックとは、金融を意味する「ファイナンス」と、技術を意味する「テクノロジー」を組み合わせた造語です。テクノロジーを駆使した、革新的あるいは破壊的なサービスを指したり、それを提供するスタートアップ企業のことを指します。また、ビッグデータやAI、ブロックチェーン、量子コンピューティングといったテクノロジーが金融に深く用いられると、そのテクノロジー自体がフィンテックと呼ばれることもあります。
●金融機関と組んでサービスを提供する事例も増えている
フィンテックのカテゴリーを、詳細に見ていきましょう。フィンテックの中には、多数のサブカテゴリーが存在します。例えば、預金のサブカテゴリーには、PFM(personal financial management、個人資産管理)やデジタルバンクがあります。あるいは、資金調達のサブカテゴリーとしては、最近身近になってきたクラウドファンディングや、仮想通貨による資金調達を指すICO(initial coin offering)があります。また、資産運用の領域は、ロボアドバイザー、ソーシャルトレーディング、マイクロインベスティングというサブカテゴリーに分けられます。
こうしたカテゴリーに関するスタートアップ企業は、日本でも増えてきました。金融機関と組んでサービスを提供するという事例も現在、増えてきています。仮想通貨に関しては、取引上の運営に加えて、仮想通貨をマイニングするという企業も出てきました。マイニングとは、コンピュータの演算能力を利用し、仮想通貨を手に入れる行為を指します。これについては、別の回で説明する予定です。
スライドの一番下には、RegTechというサブカテゴリーがあります。これはテクノロジーを駆使して、金融規制の対応を強化しようとするものです。リーマンショック後の金融規制強化により、金融機関はコンプライアンス対応のコストの増大に直面しています。こうした状況で、より効率的にコンプライアンスに対応したプロセスを実行し、コンプライアンス対応のコストを下げる狙いがあるのです。
●既存の金融サービスの不満を解消するところから始まった
フィンテック...