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自分以外は「師」だという思いで学ぶことが大事

生涯教育が人間力の基礎となる

浜口直太
経営コンサルタント
情報・テキスト
「生涯学び続けることが人間力の基礎となる」―こう語る経営コンサルタントの浜口直太氏は20代の頃、アメリカで経営学を教えた経験を有するが、そこで、どれだけキャリアを積んでも常に学び続けようとするアメリカの文化に感銘を受けたという。浜口氏が生涯教育の重要性を論じる。
時間:06:55
収録日:2018/03/19
追加日:2018/05/01
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≪全文≫

●素直に学び続けることが重要である


 皆さん、こんにちは。今回は、「生涯教育が人間力を作る基礎になる」ことについてお伝えします。

 私はかつて、能力的に不足を感じながらもアメリカに渡ったのですが、ご縁があって、アメリカの経営大学院、いわゆるビジネススクールで、ビジネス関連の学科を教えることになりました。その時は経営に関する授業だったかと思いますが、心理学の研究者の方が私の話を聞きにきてくださいました。

 その方は、見るからに知的なオーラを発していて、数々の理論に基づいてとても立派な発言をなさっていました。それで私自身、非常に驚きました。白髪でおそらく60歳を超えていたと思いますが、その方はいつもスーツをビシッと着ていらっしゃいました。お話をしてみると、長年の間、心理学の先生で、カウンセラーもやっておられ、その道の権威として著作も多く書いている方でした。そのような方が、まだ20代の助手であった私の授業を毎回しっかりとお聞きになり、帰られる時には「今日も大変勉強になりました」とおっしゃるのです。

 その時、素晴らしい方で立派だなと思ったのですが、それまではまさかそのような経歴をお持ちの方だとは知りませんでした。その方がおっしゃるには、自分は心理学ではそれなりに知識も経験もあるけれども、その分野から外に出たらまだ子どものように未熟だから、年は関係なく他の分野もどんどん学ばなければいけない、ということでした。そして、「先生、なんでも教えてください」とおっしゃるのです。これを聞いて私は、すごく感動したことを覚えています。その時に頭をよぎったのが、松下幸之助さんがおっしゃっていた、「素直」な心を持つことが大事だ、という言葉です。そこで、この心理学の先生のように、素直な心を持っている人は伸びていくのだろうと思いました。


●自分以外は皆が師であるという思いで学んでいくことが大事


 このように考えると、生涯教育は非常に大事です。アメリカの文化で私が好きなのは、何歳になっても大学に戻って学ぼうとするところです。アメリカには、飛び級をして16歳くらいで大学に入学し、2年ほど学部で学び、18歳か19歳で大学院に来る人もいます。アメリカではそれが認められているのです。他方で、それこそ先ほどの心理学の先生のように、60代や70代の方もいて、大企業の社長なども大学院の授業を受けに来ます。私が教えていたのはテキサス州のダラスでしたので、エクソン(エクソンモービル)やテキサス・インスツルメンツ、EDS(Electronic Data Systems)という会社の役員クラス、副社長クラスの方々も、授業を取っていらっしゃいました。

 この方々は、大変な経歴をお持ちで、何十年もビジネスを行っていらっしゃるのですが、それでも、20代の助手である私の担当する、経営学の授業を受けに来ていたのです。なぜ私の授業を取っているのか、その理由をお聞きしたのですが、「日本的経営も学びたいから」とおっしゃっていて、本当に驚きました。

 私自身も、年齢も性別も経歴も全く関係なく、自分以外は皆が師であるという思いで学んでいくことが大事だと考えています。そして、生涯死ぬまで学んでいくことが、人間力をつけていくために必要だと思います。

 ですから、これからも生涯教育というものを肝に銘じたいと思っています。「テンミニッツTVの講師に」というお話を頂いた時、テンミニッツTVのプログラムも、そうした趣旨でできていると思いました。私自身、テンミニッツTVには聞いてみたい授業が多く、それを全て聞いてみたいと思いましたし、今後もぜひ、新たな学びに挑戦していきたいと考えています。


●生涯学習の一つの方法が本を読むこと


 生涯学習の一つの方法に、本を読むことがあります。私は実は、大学の専門の教科書を除けば、大学を出るまでにそれこそ『子鹿のバンビ』と『野口英世』の本ぐらいしか読んだことはありませんでした。いずれも面白い本なのですが、本をほとんど読んでこなかったことについては大反省しています。本を書き始めるにはやはりいろいろとインプットをする必要があるので、どんどんと本を読むようになりました。今では、一週間に1、2冊は読んでいます。

 本は非常に有難いもので、「たった一冊の本が私の人生を何度も変えてきた」と言っていいくらいの意味があるものです。本には、書いた人ならではの経験や知識が詰まっており、もし自分でそれを経験するならば、10年や20年かかっても得ることができない場合もあります。さらには、失敗の経験などもあるので、それを実際に経験するならば痛い思いをしなければなりません。しかし、そうした痛い思いや、多くの時間とお金を費やした経験を、本ならわずか1,000円や2,000円ほどで得ることができるのです。

 もしくは、テンミニッツTVのプロ...
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