イスラエルの今
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
イスラエルの高い防衛意識と世界一の新規ビジネス開業率
イスラエルの今
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
あらゆる組織に「国際戦略」が求められる昨今、日本人の多くが身に付け損なっている世界の常識がある。それは、世界の大多数の国が直接・間接に関わるパレスチナ問題、とりわけイスラエルとユダヤに対する認識だ。島田晴雄氏の「イスラエル」シリーズの初回では、イスラエルの今と、日本とイスラエルの違いに直面したい。(全5話中第1話目)
時間:16分57秒
収録日:2013年10月4日
追加日:2014年7月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●「安全はタダ」の国で、「安全が全て」の国を考える


 皆さん、こんにちは。島田晴雄です。今回から3回にわたって、イスラエルについて皆さんと一緒に考えてみたいと思います。イスラエルという国がどこにあるか、皆さんはご存じですか。どんなイメージを持っておられるでしょうか。

 イスラエルは、ユダヤ人の国です。ユダヤ教をつくった民族の国でもあります。中東では、イスラエルをめぐる紛争が最近になってもいろいろ起きています。一方で、イスラエルは科学技術が大変進み、芸術家を輩出するという魅力的な側面もあり、ベンチャー企業が非常に活発というイメージもあります。

 なぜイスラエルを、皆さんと一緒に時間を費やして考えるのか。一昔前に『日本人とユダヤ人』というベストセラーがありました。イザヤ・ベンダサンという少々不思議な名前のイスラエル人が書いたことになっていましたが、実は山本七平さんが書きました。山本書店の店主で、大変教養のある著者が、イスラエル人の目を通して日本の分析をした本なのです。

 例えば、イスラエル人と日本人は、大変真面目な働き者の民族である点は共通しています。イスラエルは小さな国ですが、日本もそう大きな国ではありません。さまざまな共通項がありますが、非常に大きな違いもあります。安全に対する考え方が全く違うというのが、山本さんの見方でした。「日本では安全はタダだが、イスラエルでは安全が全てだ。ユダヤ人は安全のためにはどんなコストもかける」と書かれているのを読んで、ずいぶん昔ですが「そんなこともあるのか」と、大変強い印象を受けたことを覚えています。

 皆さんは現代の方ですから、もっといろいろな情報に触れていますが、改めてここでイスラエルについて考えてみたいと思います。

●世界の一神教の元になったユダヤ教の国イスラエル


 イスラエルと日本は真面目な国民性は共通するものの、違った面も非常に多く、全く逆転した立場をとる側面もあります。そういう国が世界にあること、その国をめぐっていろいろな問題が起きていることが理解できると、世界のかなり多くの問題に関する理解の糸口がつかめてくるのではないか。日本とは対極に位置するような国が全く理解できないと、やはり世界を理解することも難しいのではないか。イスラエルを理解することは、われわれが複雑な世界を理解していくうえでとても大切な...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治