政治家としての原点、そして挫折と再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
政治家が線香を持参してお供えすることは公職選挙法違反
政治家としての原点、そして挫折と再生
小野寺五典(衆議院議員)
「塞翁が馬」とは、小野寺五典氏のための言葉ではないだろうか。公務員を辞めるきっかけは「文句は政治家になって言え」の一言。トントン拍子の初当選から2年後には議員辞職を余儀なくされる。しかし、その後のつらく苦しい期間が奮起への力を養うことになる。人並み外れたアップダウンの激しさが、小野寺氏の政治キャリアを磨いてきた。
時間:12分43秒
収録日:2014年6月17日
追加日:2014年7月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●漁業の町を襲った不況と県出身総理の姿で政治に遭遇


小野寺 私が政治家を志したきっかけは、生まれ育った環境にあると思います。私は、宮城県の気仙沼で生まれ育ちました。今回の東日本震災で被害を受け、全国の多くの皆さまからご支援をいただいた場所です。

 生家は小さな旅館で、今も営業しております。日本の漁業が非常に元気がよかった頃で、お客さまは主に漁師の方でした。サケやマスをとりにどんどん遠洋に進出していき、大変景気のいい時代でした。

 そういう時代の気仙沼に生まれ育ち、景気のいい町を見ていたのですが、あるときから町が変わりました。どういう経緯だったのか、国際交渉によって日本の漁業が世界から押し出される状況に直面したのです。漁船は次々に廃業していき、漁業が廃れ、町はどんどん斜陽になりました。そういう現場をつぶさに見ていく中、何か政治で解決できることはないのだろうか、と子どもながらに思いをいたした覚えがあります。

 その後、高校生の頃だったと思いますが、岩手県出身で総理大臣になられた鈴木善幸さんが気仙沼に来られました。私は路上でたまたま通りかかった鈴木総理に握手をしていただき、「この三陸のような貧しいところから総理大臣が出たんだ。すごいな」と思っておりました。でも、そこから先の意識の中には、政治というものはほとんどありませんでした。

●行政の矛盾は「政治家になって言え」の一言を浴びる


小野寺 子どもの頃の漠然とした思いや、地元三陸出身の総理大臣を目の前で見た経験から、政治に対していくばくかの気持ちはありましたが、非常に縁遠い話だとも思っていました。実際には私は公務員になり、県庁で主に水産資源等の研究に携わりました。その役所勤めを辞めるきっかけになったのは、行政の中の矛盾だったのです。

 私は、地元河川の生態系を守る仕事に就いていました。ところがある日、自然に恵まれた渓流にブルドーザーが入ってきて、そこらを壊し始めたのです。

 「なんだ、これは」と思い、作業をしている人に「なぜ、こんなことをするんだ」と掛け合いに行きました。すると、「県の土木に聞いてくれ」「土木の事業でやっている」と言われたのです。

 戻って上司に「なぜ同じ川の中で、片方ではしっかり川を守りましょうという事業をやり、その脇に土木が入ってくるのですか」と問うと、「いや。土木のほうが力が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦