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社会関係資本が貯まらない…キャリア・プラトーの打開策

プロティアン~最先端の自律的なキャリア形成(3)キャリア・プラトーを打開する

田中研之輔
法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事
情報・テキスト
ミドルシニア層が組織内キャリアに依存したり、ポストオフ層のキャリア・モチベーションが低下したりする例は多い。その原因は、経験によりビジネス資本が蓄積されていくのに対し、社会関係資本が増えないことにある。これを「キャリア・プラトー」と呼ぶが、その打開策は「外に出る」ことだというが、その意味と実践法を詳しく解説していく。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
≪全文≫

●キャリアは「ビジネス資本」と「社会関係資本」で築く


―― 前回、若手の方に向けては、まずはその会社の中できちんとスキルをつくりなさいというお話がありました。また、逆にいうと、40~50代の人はすでに20歳の頃から10~20年もやってきて、いろいろなキャリア、というよりスキルがついてきています。第1話の中でも「棚卸し」という言葉を使われていましたが、それをどう整理して、どう展開していくのかが大事になると思います。具体的には、どういうイメージなのでしょうか。

田中 そうですね。これは一つサジェスチョンできると思うことがあります。キャリアが何によって形成されるのか、二つの大きな資本を想定してください。一つは、「ビジネス資本(ビジネス・キャピタル)」と私が呼んでいる、皆さんの持つ専門的スキルです。これは何でもよくて、例えば資料をまとめる力、市場を分析する力、未来を洞察する力、競合他社を分析する力など、全てビジネス資本というくくりになります。皆さんが働いて経験を積んできた上でスキル化したものがビジネス資本です。

―― 例えば見識とか、そういうものも含めての話ですか。

田中 含めてです。リテラシーも全てビジネス資本に含まれます。だから、ビジネス資本ゼロの人は誰もいない。何らかのビジネス資本があるということです。このビジネス資本というものは、やはり組織の中で貯まっていくと考えます。

 もう一つ大切なのが、「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」と呼んでいるもので、イメージしやすいのはネットワークです。これについてミドルシニアの皆さんに質問したいのが、「ここ数年で新しいネットワークは築けていかますか」ということです。

 若手の時は大学生の頃の同期や友だちがいて、他社で働いていてもつながっていたり、会社の中でも新しいチャレンジをするたびに新しいメンターや上長、同僚に会えたりする。それによりどんどんネットワークが広がっていきます。

 でも私のように同じ組織の中で10年以上働いていると、ネットワークは硬直化していきます。それで何が起きるかというと、ビジネス資本はすでに一定量貯まってきて、それ以上は増えにくくなっている。その中で社会関係資本がそれほど貯まっていかないことになると、一つ大きな問題が生まれます。「キャリア・プラトー」といって、キャリアが硬直して停滞する状態です。


●ミドルシニアのキャリア形成で大切なのは「外へ行こう」


田中 私自身もそういう状況を迎えたのですが、そのときの打開策は社会関係資本を増やすことでした。ですので、私が皆さんに具体的にお伝えしているのは、ミドルシニアで組織内キャリア依存、あるいはポストオフでキャリア・モチベーションが低下していると感じたならば、とにかく「外に出てください」ということです。

 外に出た分、中のネットワーク経験が減るものではない。今ならオンラインでどこからでも、いろいろな学びのシーン、さまざまな会にアクセスでき、いろいろな知見を得ることができます。その体験がネットワーク化していくわけですから、やはりプロティアン・キャリアにおいて、特にミドルシニアのキャリア形成で大切なのは「外へ行こう」ということになります。これは「越境学習」と呼び換えてもいいのですが、社会関係資本を蓄積していく行為だと考えています。

―― 今までの日本企業ですと、いわゆる「最短の出世の道」というようなことを考えた場合、社会関係資本的なことで大きくものを言ったのは、実は社内の人間関係で、他部署の誰を知っているかということでした。

 例えば営業の方だったら、「製造部の彼を突けば、いい商品が出てくる」「経理の彼に言えば、なんとかしてくれる」といった、目に見えない資本のようなものがものを言いました。そういうものを社内でうまく構築してきた人がうまく仕事を回せるようになるという世界観があったわけです。

 その後も日本企業の場合、社会的な「仕事の標準化」ができていないので、例えばA社で当たり前にやっている仕組みがB社に行くと全然違ったりする。例えば経理でも何でもそうですが違っていたりして、なかなか共通性がなかったりします。それで、どうしても社内に頼るというのが、かつての日本企業では多かったと思います。ここから外へ行くと、どういう意識転換になるのでしょうか。

田中 そうです。今のお話をうかがっていると、例えば皆さんのご興味が高いと思われる「メンバーシップ型からジョブ型へ」という話も、非常に密接に関連しています。

 日本型雇用が抱えていた「メンバーシップ型」とは一体何かというと、「ポテンシャル人材」という名のもとに一括採用してトレーニングを施した上でOJTを回していくものでした。今言っていただいたように、組織の中のスタンダードを身につ...
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