私のおすすめ本:『進化 生命のたどる道』
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
生物の進化を学ぶのにおすすめの本
私のおすすめ本:『進化 生命のたどる道』
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
生物学の中でも進化生物学が一番面白いと長谷川眞理子氏は言う。その氏が進化についての多くの本の中から特におすすめの本を紹介する。それは、生物の進化に関する「なぜ」や「どのように」といった問いに応えてくれる貴重な書である。
時間:3分45秒
収録日:2019年3月4日
追加日:2019年4月1日
≪全文≫

●第一のおすすめ本-『進化 生命のたどる道』


 私は、進化生物学が生物学の中で最も面白いと思っているので、進化についての本をご紹介したいと思います。

 進化についてはテンミニッツTVの中で何回かお話ししてきましたが、生物がどうしてこのようにできているのかを示す唯一の統一的な理論が、進化理論なのです。ところが、進化については本当に誤解が多く、「トンデモ」のような話からまじめな話までたくさんあります。

 この本は、カール・ジンマーという人が書いた『進化 生命のたどる道』(岩波書店)という本です。彼はアメリカの科学ジャーナリストですが、たいへんしっかりと調査されていて、その意味でもこの本は非常に立派に全体像を書いた優れた本だと思います。私が日本語版監訳となっており、自分が関係した本をご紹介するのは気がひけるのですが、本当にカール・ジンマー氏のこの本はすごいと思います。

 この本では、進化に関する話題は全部取り上げていて、遺伝子の話も形の話も、古生代、中生代と地質年代に沿って生き物がどう変化したかという大きな話も、また、今の人間で起こっているちょっとした遺伝子の変動の話なども、全て入っています。もちろん、人類の進化のことも書いてあります。


●気軽に、きちんと学べる『進化の教科書』


 これが本体5600円と非常に値段が高くて、なかなか簡単にはおすすめできないなと思っていたところ、同じカール・ジンマー氏がダグラス.J・エムレン氏(生物学者でカブトムシなどの研究をしている人)と一緒に書いた『進化の教科書』というシリーズが、講談社のブルーバックスから出ました。値段は第1巻が本体1680円、第2巻が本体1600円で、先ほどの本の半分程度です。

 カール・ジンマー氏のジャーナリストとしての筆の軽さというものがとても良く、ダグラス.J・エムレン氏も、生物学における進化、遺伝子、生態と歴史などについて、全てうまくカバーして書いているので、とても良い本です。現に、ハーバードやプリンストンなど、いろいろなアメリカの大学で教科書として採用されています。第1巻が進化の歴史について、第2巻が進化の理論となっています。ポケットに入るサイズですし、進化についてしっかりと分かる良質な進化学の本なので、この本をぜひ皆さんにご紹介したいと思います。

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(6)ビジネスアナリシスの仕事
スコープ・クリープはリスクが大きい…どうすればいい?
大塚有希子
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治