あなたは「お米」を食べていますか?
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ワインは芸術品、日本酒や和牛は?…銘柄とブランド戦略
あなたは「お米」を食べていますか?
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
 皆さんは、「お米」や「日本酒」などの一般名詞で物を買ったり食べたりしていないのではないでしょうか――曽根泰教氏はこのように問う。それならば私たちは、一体何を買ったり食べたりしているのだろうか? 曽根氏がブランドと農産物の本質を突く。
時間:6分38秒
収録日:2014年5月28日
追加日:2014年7月17日
≪全文≫

●今の日本人は、「お米」を買っていない


 今回は、少し奇妙なタイトルですが、〝あなたは「お米」を食べていますか?〟というタイトルでお話しします。もちろん、実際にお米を食べているかどうかが問題なのではありません。ここで問題にしたいのは、皆さんは、「お米」や「日本酒」などの一般名詞で物を買ったり食べたりしていないのではないか、ということです。

 ここ2、30年の間に、日本は日英の交渉などでの外圧があり、ウイスキーなどの酒税率を下げ、特級・一級・二級という分類も改正されました。その外圧がきっかけとなり、日本酒も特級・一級・二級という級別分類が廃止されました。そのおかげで、さまざまな銘柄の純米酒や大吟醸が出てきて、「日本酒はおいしくなったでしょう」と、何年か前にイギリス大使館の人に言われたことがあります。確かに、最近の日本酒はおいしくなりました。

 お米も昔は配給でしたから、日本米と外米の区別しかありませんでしたが、多分皆さん、今はそのような区別ではお米を買っていないでしょう。例えば、コシヒカリでも魚沼産かどうかをチェックするはずです。また、北海道米はかつて安いお米の代表でしたが、最近は味の良いものが出てきて、「ゆめぴりか」や「ななつぼし」などのブランドを確立しています。ですから、「お米」という抽象的なものを買ったり食べたりしている人は少ないのではないかと思います。同様に、「日本酒」というお酒を飲んでいる人も少ないでしょう。

●〝Ordinary Beer〟などというビールはない


 もう何十年も前の話ですが、知り合いと一緒にアメリカでレストランに行きました。その方は長くアメリカに留学していたのですが、ビールを注文する時に〝Beer〟と言ったら、何のビールかを店員から聞かれたので、〝Ordinary Beer〟と言ったのです。

 〝Ordinary Beer〟は日本語に訳すと「普通のビール」ということになりますが、そんなものはありませんから店員は驚きました。日本なら「とりあえずビール」とか「生ビール」などで通じるでしょうが、アメリカでは必ずハイネケンやサミュエルアダムズなどの銘柄を言わないと、注文は通らないのです。長くアメリカに留学している人が〝Ordinary Beer〟などと言うのを聞いて、私も驚きました。それでも〝House Beer〟と言えばおそ...

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