釜石の子どもたちにみる防災教育
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
避難3原則で子どもたちに本当に教えたかったこと
釜石の子どもたちにみる防災教育(2)避難3原則の徹底
片田敏孝(東京大学大学院情報学環 特任教授)
東日本大震災で子どもたちは、片田敏孝氏が伝えた避難3原則を実践。そのおかげで、ハザードマップの想定を超える津波の被害から逃れることができた。避難3原則で片田氏が子どもたちに本当に教えたかったこととは何か。(全3話中第2話)
時間:10分17秒
収録日:2019年3月30日
追加日:2019年6月1日
≪全文≫

●避難3原則で子どもたちに本当に教えたかったこと


 子どもたちの行動を考えるときに、まず子どもたちのいた学校は、明治三陸津波の時にも津波が来なかった場所にあります。

 そして、ハザードマップの上でも津波が来ないとされているところに学校は建っていました。そして、学校は鉄筋コンクリートの3階建てです。耐震補強も終わっていました。先生方にすれば、外は雪も降っているし、3階に上がりなさいというご指導をなさったわけですが、そこで子どもたちは何を考えたのか。3階に上がると、それ以上の津波が来たら、もう逃げる場所がない。だから、高台に向かうべきだ。これが子どもたちの判断です。まだできることはある。3階に上がったら、それ以上のことはできないという思いの中、子どもたちは高台に向かってくれました。

 そして、1つ目の避難所に入るわけですが、普通ならばそこで良しとするところを、まだできることがあるということで、さらなる避難をしてくれました。これでギリギリ命を守ることができたのですが、子どもたちのできる限りのこと全てをやって命を守り抜くという行動は、まさに釜石の子どもたちが生き抜く力を防災教育によって獲得していたから、それが育まれたからだろうと思います。

 子どもたちに教えたことは、まず避難の三原則です。三原則で本当に教えたかったことは何かというと、大いなる自然の営みに畏敬の念を持つということです。われわれの想像を絶することを起こし得ることが自然なのだということ。大いなる自然の営みに畏敬の念を持ち、他者に委ねることなく、自分の命を守ることに対して主体的であれと、本当は子どもたちには教えたいわけです。

 ところが、小学校の子どもに、「大いなる自然の営みに畏敬の念を持ち…」というのは多少、難しいところもありますので、具体的な行動としてどうしたらいいのかというところに落とし込んだのが、この避難の三原則だったのです。


●避難3原則の一つ目~想定にとらわれるな~


 まず原則の一つ目は、「想定にとらわれるな」ということです。ここでいっている想定とは具体的に何かといいますと、具体的にはハザードマップです。

 子どもたちにハザードマップを見せますと、「僕ん家はセーフだ。君ん家はアウトだ」と子ども...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(6)賴住光子先生ラフカディオ・ハーン論
ラフカディオ・ハーン『怪談』と『神国日本』の深い秘密
テンミニッツ・アカデミー編集部
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
『孫子』を読む:地形篇(1)六地形の戦略を学ぶ
ベトナム戦争でホー・チ・ミンが学んだ『孫子』地形篇とは
田口佳史
印象派の解体と最後の印象派展(5)ポスト印象派の台頭
ゴーガン、ルドン、スーラ、ゴッホ…ポスト印象派の時代へ
安井裕雄
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
変化する日本株式市場とPEファンド(3)米国型への転換を迫られる日本企業
いまアクティビストの動きは?…進む「米国化」の現状
百瀬裕規
新撰組と幕末日本の「真実」(4)江戸の剣術道場が流行した背景
剣術三大流派の道場主も農民出身?…剣術道場の意外な真実
堀口茉純
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
いま夏目漱石の前期三部作を読む(9)反知性主義の時代を生き抜くために
なぜ『門』なのか?反知性主義の時代を生き抜くヒント
與那覇潤