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「歩こうアメリカ、語ろうニッポン」プロジェクトとは?

『歩こうアメリカ、語ろうニッポン』レポート(1)プロジェクトの経緯と背景

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
情報・テキスト
『歩こうアメリカ、語ろうニッポン』チームメンバーと
Shimada Talks
『歩こうアメリカ、語ろうニッポン』は、首相官邸でこの春急きょ企画、始動したプロジェクトである。果たして、このプロジェクトにはどんな意図があって、どのように進められたのか。その経緯と背景について島田晴雄氏が語る「『歩こうアメリカ、語ろうニッポン』レポート第一弾。(全5話中第1話目)
時間:11:55
収録日:2014/06/24
追加日:2014/08/14
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカ世論に中国の物量作戦が影響を与えている


 今日は皆様に、最近私が『歩こうアメリカ、語ろうニッポン』というプロジェクトに参加した経験をお話ししたいと思います。

 『歩こうアメリカ、語ろうニッポン』というのは、実は安倍内閣の首相官邸がぜひこういうことをやろうということで、急きょ4月ぐらいにプランし、6月にはスタートしてくれということで考えた、特急列車のようなプロジェクトです。

 その背景には、最近日本のイメージが世界各地でだいぶゆがめられて伝わっているという状況があります。それは誰がやっているかというと、基本的には中国、それから韓国です。

 アメリカ世論は、ものすごく重要です。第2次大戦のときもそうでしたが、結局アメリカ世論がどうなるかで、世界の方向性が決まってしまいます。アメリカは巨大な民主主義国家です。アメリカ議会の動きを見ていると相当勝手ですが、結局アメリカ世論が無視できないのです。ですから、アメリカ世論にどう訴えるかというのは非常に重要です。戦前、日本軍が中国大陸で相当乱暴なことをやったときに、蒋介石の奥さんが徹底的にアメリカを飛び回って、アメリカの世論形成をしたというのは有名な話です。それゆえ、どこへ行っても日本人は悪いということになってしまったのです。

 そのアメリカ世論に今、中国のものすごい物量作戦が影響を及ぼしているのです。安倍内閣は、積極的に世界平和を追求しようとやっているのですが、それに対して、「あれは右翼だ」「あれは軍国主義だ」「ナショナリズムだ」と、そういうレッテルを貼っていくわけです。その貼り方がすごくて、ニューヨークタイムズなどの主要紙から地方紙まで、いろいろな新聞社の記事をどんどんと買うといいますか、買収はしていないと思いますが、新聞記者にそういう記事を書かせるのです。どうしてそういう記事を書かせるかというと、実は新聞社は皆、経営がうまくいっておらず、中国が最大の広告主だからです。あらゆる手を使って広告を出します。そうすると、中国の意向を無視した記事は書けなくなってくるのです。中には相当跳ね返りの記者がいて、意図的にそういう雰囲気の中で反日の記事を書く。ニューヨークタイムズには、そういう記者が3人ぐらいいます。地方紙にもたくさんいます。そういうところまで持ってきてしまっているのです。そうして、「安倍総理はリビジョニストだ」として、「戦後のシステムを勝手に変えようとしている」「考えようによってはプーチンと同じだ」というような位置づけに持っていこうとしているわけです。

●慰安婦問題で朴大統領が日本を批判する背景には父が関係している


 また、今度は韓国が非常に暗いのですが、それは慰安婦問題です。慰安婦問題については、日本は村山富市元総理大臣や河野洋平さんが、国家として正式に何度も何度も「反省している」と謝っているわけです。それから、賠償もある程度やっていますし、基本的にはいろいろなものが片付いているというのがわれわれの認識です。しかも、遠い昔の歴史です。もちろん深く反省はしているけれども、未来の国際関係を築くときに、そればかり言っていても仕方がないではないかとわれわれは思うのですが、そのようなことを、 朴槿恵さんは今、強烈におっしゃっているわけです。

 皆さん、ご存知だと思いますが、朴さんは安倍総理と握手をしません。実は今度アメリカに行ったとき、ペンシルべニア大学で研究をしている韓国人でドクターコースの立派な学生さんに聞いたのですが、「韓国人としても、とても残念なことがあります」と言うのです。それはこういうことです。

 朴さんのお父さんである朴正煕さんは軍人でしたが、日本でも教育を受けており、日本の大変な支援もあって、韓国を大発展させた韓国の中興の祖です。そのお嬢さんとして朴さんは育ちました。彼女は日本の学校も出ているわけです。それが今、韓国の野党や世論の中でものすごい批判に立たされているのです。党首討論会のときに、「君は『高木なにがし』の娘だろう」と。『高木なにがし』というのは、朴正煕さんの日本名です。そうすると、もうとてもではありません。彼女は立場がなくなってしまいます。そればかりやられるので、安倍さんとのツーショットは絶対に撮れないのです。ツーショットを撮ろうものなら、韓国中で批判されてしまいます。そういう状況の中で慰安婦問題が出てきているということが、政治的背景としてあるわけです。

 われわれは、もともとそれを本当に深く反省しなければいけないのですが、これからの国際関係を作っていくときにそれがどういう意味を持つかと考えると、お互いにあまりプラスにはなりません。しかし、アメリカではいくつかの国が、ある意味でアメリカ世論が汚染されるようなことを一生懸命やっているわけ...
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