●世界にまん延する「Me First」の傾向
明けましておめでとうございます。テンミニッツTVの座長をしております小宮山宏です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年何が起きるのかというのは、もちろん予測がつかない面がありますけれども、ここでは三つほど取り上げたいと思います。1つ目は米中の対立構造です。二つ目はオリンピックがあるということで、それをどう考えるかということです。三つめは、2019年12月に開催されたCOP25の結果を受けて、地球の問題をどのように対応していくのかということです。この3つについてお話をさせていただきたいと思います。
まず米中の対立の問題についてですが、今この問題がさらに発展して、世界中が「ミー・ファースト(Me First)」という、極論すると自分の国の問題だけを考えるということで、政治的にはそれぞれの国の短期的な国益に寄与するような主張をする政党がだんだんと力を得ていっているという状況にあります。
この傾向というのはそう簡単には止まらないでしょう。第一次世界大戦も第二次世界大戦の時も、ある種同じようなブロック経済、あるいはミー・ファースト的な動きになっていって、それを解決したのが戦争なのです。もし今度、本当に大国間の戦争が起こると核戦争ということになってしまい、そうなると地球の終わりになるということが分かっていますので、なかなかそうはならないでしょう。もちろん人間というのは愚かな面がありますから分かりませんが、多分大丈夫だろうとは思います。
●海外投資型一辺倒だった日本
一方で貿易額などはだんだん減少しているという傾向がすでに出ているわけで、この傾向は2020年も続くと思います。こういうときどうするのか。私は我田引水ではないのだけれども、日本国内への投資というものを国を挙げて考え、国の中を強くすること。これが一番重要なのだろうと思います。
というのは、大企業を中心にずっとここ20年といった単位では、グローバライゼーションということで日本の大企業の多くは海外に出ていっています。そのこと自体の背景をよく考えてみると、日本の中には新たに投資をしてもうかるところが不足しているということで、海外に新天地を求めて出ていくため、資本が出ていっているということなのです。
これ自体はそれこそ資本主義経済の流れですから、当然だと思うのです。しかし...