2020年頭所感
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地球温暖化問題において今後、日本はどう取り組むべきか
2020年頭所感(3)地球環境問題と「動け!日本」
科学と技術
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
2020年のみならず今後真剣に取り組まなければならない問題が地球温暖化だ。近年、異常気象ともいえる天候の急激な変化が続けて起こっているが、その変化のスピードは予測をはるかに超えており、日本を襲う災害規模も年々大きくなっている。地球温暖化は世界全体で早急に取り組むべき課題であり、技術も人材もある日本は今まさに動くべきなのだ、と小宮山氏は力説する。(全3話中第3話)
時間:12分25秒
収録日:2019年12月9日
追加日:2020年1月1日
≪全文≫

●地球環境の変化、激化は科学の世界では予測してきた通り


 三つ目は地球環境についての問題で、2020年だけではないのですが、これは持続社会を考えるうえで最も心配な問題の一つです。しかも、この予測というのは今まで私たち(私も科学者の一部としてですが)科学の世界では予測してきた通りのことが起こっているのです。

 それは、例えば気象が激しくなるということです。具体的にはどういうことかというと、乾燥していた地域はますます乾燥する、雨の多い地域はますます雨が多くなるというようなことです。それから、暑さはさらに増し、寒さもさらに増すということで、要するに気象が激しくなるのです。台風が大きくなるのもそうです。

 1980年代の終わり頃からでしょうか、こうした問題のほとんどが大きくクローズアップされてきたのは。その頃から科学の世界では一生懸命予測をしているのですが、ほとんどその予測通りのことが起こっているのです。


●恐ろしいのは変化のスピードが予測したより速いこと


 ただ、恐ろしいのはそのスピードが予測したより速いということなのです。これが一番の心配で、(北極の)氷の融けるスピードなどは明らかに予測をはるかに上回っていますし、台風の巨大化も同様です。2019年11月にシドニー周辺で大火(森林火災)がありましたが、火はなかなか消えませんでした。それなどは雨が降らないこと(干ばつ)が一つの要因と考えられます。オーストラリアというのは、斜めに切るとシドニー側の半分はもともとドライなのです。もう半分、地図でいうと右上の方はどちらかというと湿潤なのですが、こちらはその傾向が増えています。他のところはますます乾いてきています。こういう状況が明らかに影響しているのです。

 それから、2019年夏にフランスで44度以上の気温が記録されました。ドイツでも40度を超えました。私は2019年にロンドンに行きましたが、このロンドンでも40度近くまで上がりました。彼らと話すと、こうした国々ではもともとそんな気温になることはないので、家の造りは冬の寒さに対して非常に適しているのですが、逆に冷房の設備を備えていないのです。私が話した数人は1人も家に冷房がありませんでした。「2020年は冷房を入れようと思っている」と言っていました。

 ですから、オーストラリアのこともそうですし、ヨーロッパの夏の暑さもそうですが、日本で最...

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