異常気象を分析する
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ジェット気流の北上はなぜ起こったのか
異常気象を分析する(4)ジェット気流の蛇行
中村尚(東京大学名誉教授/東京大学先端科学技術研究センター シニアリサーチフェロー)
2018年の異常気象を引き起こした大きな要因の1つは、ジェット気流の蛇行であると考えられる。このジェット気流の蛇行は、どのように日本の異常気象を引き起こしたのか。そして、このジェット気流の蛇行それ自体は、どのようなメカニズムで起こったのだろうか。(全5話第4話)
時間:8分05秒
収録日:2019年3月26日
追加日:2019年7月30日
≪全文≫

●2018年夏の異常気象を引き起こした要因を整理する


 ここで、夏の異常気象が起きた要因の予想を、もう一度おさらいしてみます。

 上の図は、ジェット気流の蛇行が関わっていますが、これは極東域、東経120度から160度において、東西方向に平均した200ヘクトパスカル、上空12キロメートルにおける西風風速の時間推移を緯度の関数として書いたものです。矢印下の色の付いているところは2018年の風速で、黒い線が平年の状態を表しています。

 ですから平年ですと、6月くらいは大体北緯35度から40度の間に吹いており、それが徐々に北上してきて、梅雨明けとともに弱まって北上するということになります。そして8月になるとまた強くなって、これが秋雨につながります。

 2018年はどうだったかというと、結構蛇行しています。まず6月中旬に、オホーツク海高気圧が強く発達して梅雨寒になった後に一気に北上して、この時点で関東は記録的に早く梅雨が明けて、北海道でその直後に豪雨がありました。そのジェット気流がいったん南下したところで、西日本豪雨になりました。その後また北上しつつ、ここで北陸以西において一斉に梅雨が明けて、全国的な猛暑が7月後半にやってきます。

 実は、台風12号が7月の下旬、日本付近に接近しました。これは、日本の南部を東から西に進んだという、今までにはないような動きをした台風です。この時、亜熱帯のジェット気流が、極東域において北緯50度よりも北にありました。これは異常なことです。そして、この南側の亜熱帯高気圧が、北海道の上空にありました。ですから、本州は、弱い東風になっていました。この東風によって台風が西に動かされたのです。

 その後、亜熱帯ジェット気流は強まりながら南下をして、北海道のすぐ北を吹くようになります。これによって北海道に秋雨前線が停滞して、長雨になりました。その後は徐々に南下して、東北・北陸でも月の後半には雨が多くなりましたが、依然として東日本・西日本の太平洋側を中心に、猛暑と少雨が続いたということです。


●ジェット気流の北上はなぜ起こったのか


 では、このジェット気流の北上それ自体、これがどんな原因で起こったのか、それを考えてみます。これについてわれわれは、大気の大循環モデル、つまりグロ...

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