伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜ伊能忠敬は隠居後に地図づくりを成就できたのか
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(3)大地図づくり
哲学と生き方
童門冬二(作家)
伊能忠敬は隠居後、念願の幕府の天文方トップである高橋至時に弟子入りをして天体観測や測量を学ぶ。当初は苦労の連続だったものの、若い頃から培ってきた知識と人間力で周囲の協力を得て、地図づくりをすすめる。今回は「第二の人生」ともいえるその仕事を成就できた秘密に迫る。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分42秒
収録日:2020年1月9日
追加日:2020年3月15日
≪全文≫

●入門先の先生は20歳ほど年下の高橋至時


童門 だけども彼の有名な「大日本地図」をつくる過程において、北から南まで歩きましたけれども、これがまた苦労の連続なんです。つまり彼はもともと町人でしょう。だから行った先が彼のことを信用しないんです。税金を多く取るために幕府の下働きで来やがったな、と。

―― 隠密じゃないか、と。

童門 何か隠れ検地をやるつもりだろう、と。だから、そういう人達を説得し、懐柔し、それから自分についてくる人たちに馬鹿にされないための技術上、知識上の実力を大いに示していかなければいけない。ところが、高橋さんが感心するほど、天文方に入った時には一応の基礎は全部身につけていた。だから応用のところだけを教えればいい状況にあったわけです。だから高橋さんにとっては非常に教え甲斐のある弟子だったんです。年は取っているけれども。

―― 高橋さんとは、高橋至時(よしとき)さんのことですね。

童門 そうです。「至る時」と書きます。

―― この人はどういう立場の人だったんですか。

童門 大坂城の下っ端役人で同心だった。あの頃は大坂に有名な天文学の先生がいまして、その先生に幕府が暦を変える改暦を企てたんです。ということは、幕府が出している天文学の本では、月が太陽を隠す日食とか月食とか、何月何日の何時と書いてあるけれども、どれも合わない。それで民間から非常に厳しい意見が出たので、暦を変えなきゃならない。暦を変えるためには、大坂のあの先生に頼まなきゃダメだと。それでそこへ声をかけるんです。

 すると、「もう年を取ってるから、そういう億劫な仕事は勘弁してほしい。ただ、私のところにものすごく優秀な弟子が1人いる。高橋さんという。この弟子を代わりに差し向けるから、使ってやってください」と答える。そうして高橋さんが気象台の所長になったわけです。

―― 今でいうところの、まさに気象台の所長というところですね。

童門 そうです。

―― 暦と天体というのは、当然非常に密接に関係していますから、その研究で暦をつくっていくということになってくるわけですね。

 ということで、ある意味そうしたことを学んでおられる、しかも気象台のトップですから、伊能忠敬としてはそういう第一人者のところに弟子入りをしたいというところで、前回先生がおっしゃったように、一流の機材をお土産に持っていっ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
鎌田東二
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
賴住光子

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
編集部ラジオ2025(18)音楽って実は数学でできている?
動画講義だからこそ音楽と数学の深い関係がよくわかる!
テンミニッツ・アカデミー編集部
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
西洋哲学史の10人~哲学入門(10)ニーチェ 超人
ニーチェ:超人、ニヒリズム…善悪は弱者の嫉妬心にすぎない
貫成人
日本のエネルギー政策大転換は可能か?(3)エネルギー政策大転換への提言
カーボンニュートラル達成へ、エネルギー政策の変革は必須
鈴木達治郎