伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方
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なぜ伊能忠敬は隠居後に地図づくりを成就できたのか
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(3)大地図づくり
伊能忠敬は隠居後、念願の幕府の天文方トップである高橋至時に弟子入りをして天体観測や測量を学ぶ。当初は苦労の連続だったものの、若い頃から培ってきた知識と人間力で周囲の協力を得て、地図づくりをすすめる。今回は「第二の人生」ともいえるその仕事を成就できた秘密に迫る。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分42秒
収録日:2020年1月9日
追加日:2020年3月15日
≪全文≫

●入門先の先生は20歳ほど年下の高橋至時


童門 だけども彼の有名な「大日本地図」をつくる過程において、北から南まで歩きましたけれども、これがまた苦労の連続なんです。つまり彼はもともと町人でしょう。だから行った先が彼のことを信用しないんです。税金を多く取るために幕府の下働きで来やがったな、と。

―― 隠密じゃないか、と。

童門 何か隠れ検地をやるつもりだろう、と。だから、そういう人達を説得し、懐柔し、それから自分についてくる人たちに馬鹿にされないための技術上、知識上の実力を大いに示していかなければいけない。ところが、高橋さんが感心するほど、天文方に入った時には一応の基礎は全部身につけていた。だから応用のところだけを教えればいい状況にあったわけです。だから高橋さんにとっては非常に教え甲斐のある弟子だったんです。年は取っているけれども。

―― 高橋さんとは、高橋至時(よしとき)さんのことですね。

童門 そうです。「至る時」と書きます。

―― この人はどういう立場の人だったんですか。

童門 大坂城の下っ端役人で同心だった。あの頃は大坂に有名な天文学の先生がいまして、その先生に幕府が暦を変える改暦を企てたんです。ということは、幕府が出している天文学の本では、月が太陽を隠す日食とか月食とか、何月何日の何時と書いてあるけれども、どれも合わない。それで民間から非常に厳しい意見が出たので、暦を変えなきゃならない。暦を変えるためには、大坂のあの先生に頼まなきゃダメだと。それでそこへ声をかけるんです。

 すると、「もう年を取ってるから、そういう億劫な仕事は勘弁してほしい。ただ、私のところにものすごく優秀な弟子が1人いる。高橋さんという。この弟子を代わりに差し向けるから、使ってやってください」と答える。そうして高橋さんが気象台の所長になったわけです。

―― 今でいうところの、まさに気象台の所長というところですね。

童門 そうです。

―― 暦と天体というのは、当然非常に密接に関係していますから、その研究で暦をつくっていくということになってくるわけですね。

 ということで、ある意味そうしたことを学んでおられる、しかも気象台のトップですから、伊能忠敬としてはそういう第一人者のところに弟子入りをしたいというところで、前回先生がおっしゃったように、一流の機材をお土産に持っていっ...

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