伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方
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伊能忠敬の生き方に学ぶ「50歳からの目標」とは?
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(2)50歳からの目標
哲学と生き方
童門冬二(作家)
複雑な家庭環境で育ちながらも好きな天文の学問を続けていた忠敬は、伊能家に婿入り後、「50歳になったら隠居して天文学や測量の研究に専念」と目標を定める。そこで、まず傾きかけた伊能家の財政再建に着手し、その実績を持って、隠居後の伊能家の経済的援助の確約を得る。一方、難民救済など社会貢献も怠らず自ずと周囲の信頼を手にしていった。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分07秒
収録日:2020年1月9日
追加日:2020年3月8日
≪全文≫

●伊能家に婿入り、財政再建に一念発起


童門 ある時、佐原の伊能家というところで婿捜しをしているということで、「おまえさん、どうだ」と世話人が来たので、会いに行くわけです。家付き娘がちょうど夫を亡くしたばかりだし、大きい家の娘ということで。

―― 伊能家というのは、もともとどういう家柄なんですか。

童門 何というんでしょうか、町の豪家です。

―― いわゆる豪農のことですか。

童門 そうですね、豪農です。だから村役人もやっているんですよ。ただその家付き娘が、2度目がこんなやくざの名も高い人ではちょっと困ると嫌がるんです。そこを世話人がなんとか説得して、とにかく婿に入ったわけですよ。

 そこで考えました。一旦、他人である伊能家へ入った以上は、「郷に入っては郷に従え」で、ここの掟を守らなきゃいけない。それから見たところ、伊能家は財政的には非常に傾いている。だから自分がやることは、財政再建で、元に戻すことだと。そうすれば、色目で見ている俺への印象も変わるだろうということなんです。

 家業として農が主ですけれども、換価できる、付加価値のある農作物を作るということを彼はやったんです。それから炭を焼いて、それを売り出すとか、酒まで手を出して。それから、片田舎の佐原の町だけで商売しても益はたかが知れている、ということで、江戸に支店を出すんです。その支店がものすごくはやる。産地直送の物などを送るからです。

 それで赤字がめきめき減っていって、財を成すようになっていくんです。

―― 最近の近郊農業をこの時代から先取りするような形の動きですね。


●「50で隠居」計画し、有言実行


童門 そうです。それで結局、心の片隅では測量をやりたい、星の研究をしたいという志を捨てきれませんから、ある日、目標を立てるんです。50になったら隠居しよう、と。その後を息子に譲って、俺が測量と天文学を学ぶことに専念をしたい。ただ、それは金がかかる。だから、その金をこの家から嫌がらずに出してもらえるように、せっせとそれだけの実績を積もう、と。

 ということで、いよいよ家業に力を入れて、結局赤字を完全になくしてしまいます。そして、ちょうど49歳から50歳頃になった時、女房と息子を呼んで、隠居すると宣言をします。忠敬が伊能家に入ってきた時の女房は、嫌がってご飯も一緒に食べませんでした。台所に行って、使...

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