●人間力とは、みんなの利益に熱心なこと
では、どうすれば人間力、人間としての魅力を高めることができるのか。これが大変大事なことです。本を読んだり話を聞いたりすれば、知識を得ることはできます。留学するのも一つの道でしょう。では、人間力を高めるにはどうしたらいいか。
私は、残念ながら、今の学校教育の中で、この部分が実は最も遅れていると思うのです。ですから、学力・学歴一流、人間三流の人が多い。「たとえ学歴が三流であっても人間は一流であれ」と、常に青年塾では言い続けております。
では、どのような人が魅力的なのか。あるいは、自分の魅力を高めるにはどうしたらよいのか。言葉で言うと、極めて簡単であります。周りの人たちを見て、どのような人が嫌われるか。自分の利益にだけ熱心な人です。そのような人は、絶対に人に尊敬されません。
口には出せないかもしれませんが、みんな腹の底ではそのように思っているのです。自分さえ良ければいいという考え方、自分の利益だけを追求する考え方は、実は非常に世間から嫌われます。私はこれを“野心”と呼んでいます。
野心も一つの大きなエネルギー源であることは事実であります。将来社長になりたい、大金持ちになりたい、有名になりたい、大臣、総理大臣になりたい、お医者さんになって金儲けしたい。これも頑張ろうという意欲の元であることは事実であります。ですが、それは小さい。たかが己一身の利益でしかないのです。
私が言う人間としての魅力とはどういうことか。己一身の損得を超えて、みんなの損得に熱心になることです。人が困っていたら、苦しんでいたら放っておけないことです。人のために惜しげもなく自分の力を捧げる気持ちを持った人、みんなの利益に熱心な人は、非常に尊敬されるのです。これを、私は“志”と呼んでいます。
最近は、非常に熱心に、毎日ウォーキングしている人がいます。雨の日もウォーキングしています。その姿を見て、多くの人は、熱心な人だと言います。ですが、立派な人とは言いません。なぜかといえば、健康という自分の利益にだけ熱心なことは、立派ではないですから。
ですが、その人が、今日から道に落ちているゴミを拾いながらウォーキングしたとしたら、近所の人は立派な人だと言うでしょう。ゴミ拾いの中に、みんなのために行動する心を見たから、立派だと言われるのです。
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