中央銀行デジタル通貨と貨幣のない世界
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リテール型よりホールセール型のほうが現実的
中央銀行デジタル通貨と貨幣のない世界(2)間接発行型の中央銀行デジタル通貨
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
日銀が直接電子マネーを発行するとなると、個人口座の管理が日銀の仕事になる。これは金融機関や間接金融のあり方を根幹から変える可能性があり、「それでいいのか」という話になる。そこで現実的な方向性として一番有力なのは「ホールセール型」で、中央銀行デジタル通貨を間接型にして、中央銀行は直接的には個人のアカウントを管理しないという形だ。(全5話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分30秒
収録日:2021年4月28日
追加日:2021年6月17日
≪全文≫

●金融機関や間接金融のあり方を根幹から変える可能性もある


―― 具体的なイメージの話なのですが、SuicaやPasmoといった交通系のものであれば現金を入れてチャージすることもできるし、クレジットと紐付けてオートチャージ(他のカードの場合はクレジットカード機能)という形もあります。今のお話のように口座が開けない、カードが持てない人向けだとすると、仕組みとしてはどうなのですか。日銀の発行したものは、やはりどこかの場所へ行ってチャージをして使うようなイメージのものなのでしょうか。

柳川 これをどういうイメージのものにするかはまだ決まっておらず、どういうふうにできるのかということすら、まだよく分かっていないというのが正直なところです。

 個々人が中央銀行デジタル通貨を使えるようになるといったときに、どういう形のものにするかについてはいろいろ模索がされています。言葉は相当踊っているのですが、それをどういう仕組みの中で本当に使えるようにしていくかというのは、大きな課題です。

 中央銀行デジタル通貨と呼ばれているものの中にも実はいろいろなものがある。一つは今のようにそれぞれの人がカードを持って、しかもその中に直接日銀券に代わる日本円がチャージされている。このような形が一番分かりやすいと思います。

 では、この後どうなるかというと、チャージしているアカウントが必要になるわけです。そうすると、チャージしているアカウントを日本銀行が直接管理するという形にならざるをえない。

 日本銀行が、個々人のチャージ(記録)している口座を持つということになると、これは世界中の中央銀行がやっている仕組みとはまったく違っています。

 世界中で中央銀行は、銀行のアカウントは管理していますが、個人の口座管理などしておらず、チャージ・アカウントはしていないわけです。そこで、個人の口座を全部中央銀行が管理するような形が、本当にできるのか、あるいは望ましいのか、ということになります。

 そこでは、技術的な観点だけではなくて、もしそんなことをすると銀行の役割やクレジット会社の役割もまったく変わってくることになる。いわゆる間接金融というものの構造が、全然違ってきてしまうわけです。

 そうなると、これは金融機関のあり方や間接金融のあり方を根幹から変える可能性もあり、「それでいいのか」という話になってい...

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