中央銀行デジタル通貨と貨幣のない世界
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
デジタル通貨によって独自の経済圏が形成されるのか
中央銀行デジタル通貨と貨幣のない世界(5)民間型デジタル通貨の可能性と影響
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
民間企業が発行するデジタル通貨が国の脅威になるといっても、通貨単位を変えないシステムの場合は、中央銀行のコントロール下に置くことができる。しかし、独自の通貨が発行されるとなると、それに伴って独自の経済圏が形成され、日本円とはまったく無関係の世界で生きることになるかもしれない。現在のようにオンライン決済が普及した世界では、電子マネーによる経済圏の形成が十分射程に入ってきた。いずれにしても、デジタル通貨によって通貨の持つ意味が変わってくるということだ。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分00秒
収録日:2021年4月28日
追加日:2021年7月1日
≪全文≫

●民間型のデジタル通貨と通貨単位の問題


―― 中国では、アリババが発行したアリペイをめぐって、アリババのジャック・マー氏が弾圧されたような話も流れてきています。中央銀行デジタル通貨のようなものと民間型のデジタル通貨のようなものがあり、国家としては、民間型が増えてくると金融政策等々もなかなかやりづらいことになるのだろうと思うのですが、政府はどう判断していくものなのでしょうか。

柳川 まず区別をしたほうがいいのは、どういう通貨単位を使うかということです。前半ではPasmoやSuicaを例に出しましたが、ああいうものの通貨単位は基本的に日本円です。

 そのもとで取引をしているとすると、日本円である以上、デジタル通貨を出し入れして増減する裏側に日本円の資産が担保としていないといけないわけです。それが100パーセントリンクしているかどうかは別にして、ある程度リンクしているとすると、中央銀行が日本円をコントロールしている限りは、各民間企業が発行するデジタル通貨の量もおよそコントロールできるという形になるということです。

 だから、例えば100万円の電子マネーを発行しようとすると、手元にキャッシュか中央銀行のアカウントか何か、中央銀行デジタル通貨であれば中央銀行デジタル通貨の形で100万円持っていなければ発行できない、そういう形でコントロールができます。

 あるいは今のプリペイドカードみたいな話では、預託金が半分あればいい。つまり50万円のキャッシュなり、中央銀行のアカウントを持っていないといけないということ。この場合は倍額発行できるわけですが、それでも勝手にできるわけではないという意味で、中央銀行のコントロール下にあります。そういうことなので、あまり今と変わらない。

 変わり得るとすると、さっき申し上げたように、金融機関外の人がマネーに近いものを発行することをどう考えるかということにすぎないです。


●独自の通貨単位が日本円と無関係の世界をつくりだす


柳川 その一方、独自の単位で通貨を発行するとなると、これは状況がだいぶ変わってくる話です。それは、独自の通貨圏を形成するかもしれない。細かい話でいけば、どれぐらいその裏側に資産を持っているのか。何の資産を持っているのか。例えば「Libra」という独自の単位を出したとすると、日本円でどれだけの価値を持ち、ドルだとどうなるのかといったこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
戦前派一日本人の憂鬱~太平洋戦争と敗戦後を顧みて…(1)
『きけわだつみのこえ』を読むと今でも涙が止まらない
野田一夫
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(1)なぜ『神国日本』なのか?
ラフカディオ・ハーンが解明した「美しい日本」の秘密と未来
賴住光子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(26)お盆とあの世を考える
【10min解説】特集で考える《お盆とあの世》の本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保