人新世とは何か~人類の進化と負の痕跡
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
人新世はいつから?…更新世と完新世に続く新たな時代区分
人新世とは何か~人類の進化と負の痕跡(1)地球史と人類の進化史
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授/日本芸術文化振興会理事長)
「人新世」という言葉が脚光を浴びている。人類の営みは、地質区分に新しい時代区分を産むほど、地球表面に影響を及ぼしているのだろうか。なぜ、世界中が注目するようになったのだろう。そして、人新世と呼べるようになるのはいつ頃からか。長いスパンで地球と人類の歴史を振り返ると、それらの疑問が解決する。(全3話中第1話)
時間:12分38秒
収録日:2021年4月19日
追加日:2021年6月27日
≪全文≫

●46億年の地球全史を振り返る


 総合研究大学院大学の長谷川と申します。今日は、「人新世(Anthropocene)」という区分が提唱されていることについて、どうしてそういうことになったのかというお話と、それをめぐる背景について、少し解説してみたいと思います。

 「アントロポシーン」「アントロポセン」「人新世(じんしんせい、ひとしんせい)」と、人によって呼び方はさまざまですが、これを理解するには地球の長い年代の区分を知っておかないといけません。

 その長さは46億年です。地球ができてから現在までには46億年の歴史があります。この中で、地球のいろいろな変化が起こったとき、例えば中がどうなった、かたまりがどうした、海ができたというようなことがあるたびに、時代として区分をしています。

 それで「冥王代」「太古代」「原生代」というものがあって、「顕生代」に入ります。顕生代は、化石に残るような生きものがたくさん出てきた時代ですが、それより以前にも長い時代がありました。

 この図は長さと時間に関係なく書いているので、この長さだったということではないのですが、46億年の地球全史が冥王代、太古代、原生代、顕生代に分かれることを示しています。

 46億年前が始まりで、しばらく後の38億年前に初めての生命が地球上に現れたと考えられています。そこからはずっと単細胞で、小さくて見えないような生きものが続きました。5億4000万年前ぐらいにちゃんと化石に残るような大きさの生きものが地球全体に広がり、そこから先の今までを「顕生代」と呼んでいます。

 この顕生代だけを拡大してみると、5億4000万年前から現在までの歴史が、古生代、中生代、新生代と分けられています。

 これは皆さんよくご存じかと思いますが、古生代は5億4000万年ぐらい前の「カンブリア紀」から始まります。中生代は「恐竜の時代」、新生代は6600年前に始まって「哺乳類の時代」といわれています。


●第4紀は更新世と完新世だけでよいのか


 今度は、6600年前に始まった新生代を拡大して見てみると、第3紀と第4紀の2つに分けられています。さらに今は第3紀を「古第3紀」と「新第3紀」に分けるようになっているので、3つに分けられます。

 第4紀は何かというと、258万年前に始まって現在まで続い...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
大人の学び~発展しつづける人生のために(2)熟達と遊び~好奇心から始まる学び
好奇心はコントロールが効かない…遊びの重要な条件とは
為末大
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将