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森林が豊富な国土、世界最高齢…日本の可能性はそこにある

これからの日本をどうすべきか(3)産業構造の変化と日本の可能性

概要・テキスト
国際的ビジネスが今、ESGの方向に進んでいるが、遅れて動き出すと先にルールを作られてしまうので損をすることになる。そこで日本の可能性を考えると、国土的に豊富な森林の活用や、世界的高齢国ならではの高齢人材の活用などが挙げられる。戦後焼け野原から復興し、公害を克服した日本なら課題は必ず解決できるのではないか。(全4話中3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
(2022年5月16日開催島田塾第200回記念特別企画「これからの日本をどうする」より)
時間:09:47
収録日:2022/05/16
追加日:2022/08/24
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≪全文≫

●国際的ビジネスは後れを取ってはいけない


島田 小宮山先生がとても重要なことをいくつかおっしゃいました。日本が強くなろうとした時代は、今のG7が工業能力を持っていて、あとの国は全く持っていなかった。今は9割の国が工業能力を持っている。だから加工貿易という大戦略が成り立たない時代が来たとおっしゃった。その通りです。

 もう1つは、小宮山先生がいつも言われることですが、自動車産業は国内販売が今、(年間で)500万台ほどですか。

小宮山 おっしゃる通りです。

島田 500万台で、平均の使用年数は5年ほどですか。

小宮山 最近は12~13年くらいです。

島田 では、6000万台ほどあるということですね。

小宮山 そうです。

島田 6000万台あるとどういうことが起きるか。日本の国内で(新たに年間)新車を500万台ほど作っても、これまでに6000万台と十分すぎるほど作ってしまっているので、それ以上売れる余地がこの国にはありません。このことを小宮山さんは以前から言われていて、他の産業でも同じようなことがいえます。これはとても重要なことです。

 もう1つは、石炭・石油・天然ガスの時代は終わったということです。これは化石燃料といいますね。化石燃料が、地球温暖化も含めていろいろな問題を起こしてしまう。小宮山さんがおっしゃっているのは、化石燃料の時代から太陽の時代に移るべきではないかということです。

 これは200年間の文明史なのです。国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が述べていますが、産業革命以前の気温から上昇幅を1.5度以内に収めないと、2050年には地球が壊れるだろうと。そこで、早く対策をするようにと言っています。このことは非常にたくさんの科学者が研究したデータで示していて、だいたいは正しいのです。ただ、小宮山流にいうと、産業界は本気ではやりたくないので動かないということです。

 (ということで)、今、地球上の産業構造の分布が全く変わったということ、それから化石燃料ではなくて太陽の時代に移らなければ地球がもたないということがあり、これらを踏まえると大変なことになります。結局、200年間の工業化の基本的なエネルギー基盤を全て覆さなければいけない。これは、現状の産業はやはりやりたくないでしょう。だから、綱引きのようになっているのです。

小宮山 ただ、今はESG(Environment〈環境〉・Social...
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