東アジアにおける近代の啓蒙~儒教と近代
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
仏教を超え内面に向かう「啓蒙」へ! 朱熹が採った道とは?
東アジアにおける近代の啓蒙~儒教と近代(3)仏教から新儒教へ~朱熹と朱子学
中島隆博(東京大学東洋文化研究所長・教授)
宋代に朱熹が築いた「朱子学」とは、何だったのか。後に東アジアの近代的啓蒙に色濃く影響することになる宋代・明代の「新儒教」の発生以前にさかのぼり、儒教と啓蒙の絡まりをひもとく。(全4話中第3話目)
時間:11分47秒
収録日:2014年10月7日
追加日:2015年1月30日
≪全文≫

●隋・唐時代、仏教と政治が深く結びついていた


 では、続いて、儒教と啓蒙についてお話をさせていただきます。

 儒教は非常に長い歴史を持つものですが、今回お話をするのは、新儒教、欧米で「ネオコンフューシャニズム」と言われるもの、つまり、朱子学、陽明学、あるいは宋学、明学とも言われる、宋代、明代の儒教について、お話をしたいと思います。

 その以前、隋・唐の時代には、日本から遣隋使、遣唐使が派遣されていました。当時の中国の学問の中心は、当然、仏教でした。そして仏教は、学問の中心であるだけでなく、当時の中国の政治に深く関わっていました。

 では、なぜ仏教は、それほどまでに政治に深く関わることができたのか。日本から遣隋使、遣唐使が行って仏教を取り入れることによって、どういうメリットがあったのかを考えてみましょう。


●万人を救い、人心をつかむ仏教の力


 よく考えてみると、仏教というのは出家ですから、出世間とも言うように、われわれの普段のこの日常の生活からいったん外へ出ることがどうしても要求され、最終的には解脱(げだつ)を目指していきます。

 そういった教えが仏教ですから、現実の世界に寄与していくという点では、非常に薄いのです。仏陀(ブッダ)自身も自分の国を捨て、その国は最後は亡びていきますし、自分の家族もひどい目に遭います。

 そうしますと、国や家というものに対して、仏教がそれほど積極的に貢献するとは、当然、思えないのです。ところが、その仏教というものが、中国においては大変重要な政治的な資源になっていきました。

 日本も当然それを学んで、政治に利用しようとしたのですが、それはなぜでしょう。いろいろな理由が考えられるかもしれませんが、やはり仏教の強さとは、多くの人々を巻き込むことができたこと、これに尽きると私は思っています。

例えば、中国では、それ以前の儒教が典型的ですが、誰もが聖人になれるわけではありませんでした。選ばれた人、あるいは、非常に努力をした人が辛うじて聖人になれるかもしれない。そういう非常に特権的なものが聖人でした。ところが、仏教は「いやいや、あなたも救われますよ」と、そこを突破していきます。これほどありがたい教えはありません。しかも、救われるために、何も激しい修行をするだけが救いの道ではないというのです。最終的には、例えば日本が典型...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
デカルトの感情論に学ぶ(2)感情をコントロールするには
恐怖をなくす方法と感情のコントロール…デカルトの考え方
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(2)「ほめる」技術
男性は「ほめる」のが苦手?傾聴から始まる「ほめる」技術
三谷宏治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ