安全保障最前線
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
北朝鮮からのミサイル防衛のため日本がやるべき3つの対策
安全保障最前線(2)北朝鮮問題を考える
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
これまで何度も弾道ミサイル発射を実施し、同時に核実験も進めてきた北朝鮮。それに対し、六者会合で対応してきたが、果たして北朝鮮の狙いはどこにあるのか。そして日本がとるべき対応策は。北朝鮮による弾道ミサイルの歴史をたどりながら、北朝鮮をめぐる情勢と、今後の北朝鮮への戦略について解説する。
時間:16分48秒
収録日:2014年8月1日
追加日:2015年2月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●弾道ミサイル発射に対する関与戦略に手詰まり感


 私が佐世保総監として2年間赴任している間、いろいろなことが起きましたが、実は総監として着任して最初に洗礼を受けたのは、北朝鮮が「衛星」と称するミサイルの発射でありました。

 これは2012年4月で、それこそ報道にあった通り失敗に終わったわけですが、同時に、わが国の情報の伝達やいろいろなものも失敗に終わったときでもありました。

 そして、同じ年の12月に、北朝鮮は再び「衛星」と称するミサイルの発射を行いました。このとき北朝鮮は、12月14日に「人工衛星」と称するミサイルの発射を発表し、直ちに防衛会議が開かれ、準備命令と統幕長指示が出され、そのあといろいろなことがあって12月12日に至り、ミサイルが発射されました。これに対して自衛隊は、イージス艦を洋上に、そして、陸上自衛隊およびPAC-3の部隊を南西諸島に配備して対応したわけであります。

 この弾道ミサイルの発射後、今度は2013年4月から7月の間に、北朝鮮は弾道ミサイルの発射を予告し、日米韓への恫喝を実施いたしました。これに対しましても、軍事的には日米のBMD、すなわち、弾道ミサイル防衛体制を構築して対応いたしました。そして、政治外交的には、六者協議を中心とした、いわゆる関与戦略と言われることで対応したわけです。正直、現場の指揮官をやりながら、何度も何度もこういうことが繰り返されると、何か手詰まり感があるなというのが私の印象でありました。


●北朝鮮の弾頭ミサイル発射の歴史


 では、こうした北朝鮮による一連の行動の背景とは、一体何だったのでしょうか。その前に、北朝鮮の弾頭ミサイル発射の歴史について簡単に申し上げます。

 1993年5月にノドンが発射されました。これは日本海に着弾したと言われています。「言われています」と申し上げたのは、実はこのとき、日本国政府や国民がノドンを撃たれたことを知ったのは2週間もあとのことで、米国の高官からの情報によるものでありました。

 98年、テポドン1が8月に発射されました。このときは、探知捜索機能を辛うじて備えていた日本のイージス艦が、これを探知しました。そして追尾しました。ただ、このときも北朝鮮は「衛星」だと言いました。

 しかし、直ちに解析しようとしたのですが、今のようにはいかず、それが本当に衛星なのか...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ