安全保障最前線
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中国の海洋進出の目的を元海上自衛隊 海将が徹底解説
安全保障最前線(3)中国の活発な海洋進出への対応(後編)
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
前半では中国の海洋進出問題の現状を見たが、後半では解決への道を探っていく。中国の海洋進出の狙いを知り、日本の国際的な立場を分析していけば、進むべき道はおのずと浮かび上がってくるだろう。前海上自衛隊佐世保地方総監吉田正紀氏が語る、現場から見たわが国の安全保障最前線。(後編)
時間:20分19秒
収録日:2014年8月1日
追加日:2015年2月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●緊張の「高め安定」が、現場のできる最大の仕事


 緊張や緊迫をあおり立て、演出してくる相手に対して、とりあえず今私どもにできることは何か。先ほども述べた通り、挑発には応じることなく、現在の緊張を決して緊迫や衝突にエスカレーションさせない。しかし、われわれの意思は明確に示す。これが今、現場が実際にやっていることです。

 佐世保地方総監時代、私はよくさまざまな取材を受けたり、各地の地方自治体の方々とお会いして、「どうですか、東シナ海周辺の状況は?」と聞かれると、「うーん、高め安定ですかね」と答えていました。

 「高め」というのは、今のところ緊張状態を下げる要素は見つかっていないし、相手の進出はむしろ高まっていたり、今後高まるかもしれないからです。そんな中でわれわれ現場がやらなければいけないのは、まさにその緊張の「安定化」です。

 緊張の安定化は何のためにやるのでしょう。第1話から申し上げているように、緊張を下のラインへ下げていくのは、戦略でいう「水平軸」の機能です。現場のわれわれは、この「水平軸」すなわち政治や外交が機能するまでの時間を稼いでいます。そして、この間、決して相手に軍事的なカードを取らせません。それが今、最もやらなければいけない最大の仕事であろうと考えて、私は勤務に就いていました。


●中国の海洋進出の狙い(1)経済発展のための海洋権益の確保


 次に気になるのは、中国の長期的な戦略目標ということだろうと思います。現場の方から言うと、「いつまでこの状態が続くのだ?」という話にもなるでしょうか。中国のこうした海洋進出の狙いは、大きく分けて三つあると思います。

 一つは、経済発展のための海洋権益の確保です。中国においては、90年代以降、陸上油田の生産量が頭打ちになっています。それより前、1969年頃に国連の調査がありました。その報告により、東シナ海に石油や天然ガスが豊富に埋蔵されていることが分かりました。すなわち中国周辺に豊富な海洋資源がある可能性が明るみに出たのです。

 実は、中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、この国連の報告があった年です。1971年、沖縄が返還され、日本の施政権が確立する直前でした。この頃から中国は、資源の将来性について考えていたのではないかと思います。中国という国は、おそらく13億の民を食べさせ続けるためには...

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