三つの千年紀から見た世界の変遷
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
不思議なことに人類の歴史は千年ごとに大変化を見せている
三つの千年紀から見た世界の変遷
政治と経済
高橋一生(元国際基督教大学教授/リベラルアーツ21代表幹事 )
国家百年の計というが、人類史には千年ごとの変化があると、高橋一生氏は言う。普段は使わない長大なスコープを通して見ると、人類と世界の課題も、将来への展望も、手に取るように見えてくる。いざ、三つの「千年紀」が語る世界へ。
時間:17分37秒
収録日:2014年10月28日
追加日:2015年2月4日
≪全文≫

●歴史観は、現在の課題を見据え、将来を展望する基盤


 現在の課題を唱えていくとき、一番大事なのは歴史観だろうと、私は思います。歴史観と、歴史家としてどういう作業をするかとは違います。大事なことは、現在の課題を時間軸の中に位置づけて、将来を見通すための基盤を自分の中に判断基準として持つこと。それが歴史観だろうと思います。

 そういう観点から、世界や日本が現在抱えている主要問題を考えようとしたとき、歴史観として一番基本になるだろうと私が思うのは、非常に不思議なことですが、人類史が千年ごとに大きく変化していると考えられることです。

 たった今は、三つ目の千年紀のど真ん中にいる状況だと思います。


●第一の千年紀は「自然、人、神」の関係を掘り下げた古代


 第一の千年紀は、紀元前数百年あたりから紀元後数百年くらいまでの間です。普通の歴史と同じように、「古代」と言っていいでしょう。この時代は、「人と神と自然」の三つの非常に密な関係が、いろいろな形で深められていった千年間だったろうと思います。

 例えばインドでは、多神教の世界が『リグ・ヴェーダ』という文書に大変見事に展開されていて、今の形になったのは大体紀元前800年前後だろうと言われています。それは、何百年もかかって積み上げられてきた結果なのですが、そこには「自然、人、神」の非常に密な関係が見事に展開されています。

 中国に関していえば、この時期に「四書五経」の世界が大変見事に展開されていきました。これが世界の財産になっていると思います。

 また、ギリシャ・中近東あたりでも同じような事態が見られます。ホメロスからソクラテス、それを文書化したプラトン、さらには、旧約・新約聖書。そういうものがこの時代に、人類全体の財産として非常に密な展開をしてきました。

 こういうものが、今から見ると、第一の千年紀に、後世のわれわれのために残された非常に大きなものとして映ってきます。


●第二の千年紀は「人と神」による宗教と、位階秩序の時代


 それを過ぎますと、紀元後数百年から千数百年までの間、通常の歴史用語によれば「中世」の世界が展開してきます。これもまた千年くらいの間になると思います。

 具体的な年号として1492年とか、1500何年とか、あるいは1648年とか、特定のイベントを指摘する人たちがそれぞれにいるで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留