近代のドラマ~民族国家と経済成長~
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「21世紀はアジアの時代」をアンガス・マディソンが予測
近代のドラマ~民族国家と経済成長~
高橋一生(元国際基督教大学教授/リベラルアーツ21代表幹事 )
英国の経済学者、アンガス・マディソン博士は「21世紀は、アジアの時代」であることをいち早く予測した人物だった。しかし、この予測も、「民族国家」としての覇権争いが戦争という局面を迎えなければという話であることは言うまでもない。アジアと世界の21世紀のために必要な策を、高橋一生氏とともに考えてみたい。
時間:14分50秒
収録日:2014年10月28日
追加日:2015年2月5日
≪全文≫

●「民族国家」としての覇権をめぐる「戦争」というドラマ


 近代のドラマは、おそらく近代を特徴づける「民族国家」と「経済成長」という二つの側面で見ると分かりやすいと思います。

 まず、民族国家という側面から見ると、この500年ほどの間に、ナンバー2の国がナンバー1の国にチャレンジしたことは15回ほどあったそうです。これは、ハーバード大学のグレアム・アリソン教授による指摘ですが、その内の11回は戦争になってしまったということです。

 私は、これをもう少し短く200年ぐらいに切って考えてみました。その結果、今は、グレアム・アリソン教授が指摘するよりももっと危険な状況にあると感じています。

 200年前はナポレオン戦争です。1814年から15年にかけては、その処理のためのウィーン会議が開かれていました。100年前の1914年は、皆さんがよくご存じの第一次世界大戦が始まった年です。その後、あまり時を経ずして1939年からは第二次世界大戦です。両方とも、体制の異なるナンバー2がナンバー1にチャレンジした結果、起こったものです。その第二次世界大戦が終わると、また直ちに体制の違うナンバー2、当時はソ連ですが、それがナンバー1のアメリカにチャレンジして、冷戦が展開される状況になりました。


●冷戦を戦争にしなかった「MAD」と現在の米中関係


 この中で、ナンバー1とナンバー2の間に直接戦争が起こらなかったのは、冷戦だけでした。ただし、この期間は非常に代理戦争が多かった時期です。朝鮮戦争やベトナム戦争をはじめ、その後も幾つもの代理戦争がありました。

 アメリカとソ連が直接戦争をしなかった一番大きな理由は、核戦争の回避でした。お互いに丁々発止の核戦略のやりとりをしながらではありましたが、最終段階では「MAD(Mutual Assured Destruction.相互確証破壊戦略)」の合意が形成されました。

 片方が相手を攻撃したとしても、必ず第二撃として相手側がこちらを反撃する能力は残ってしまう。そういう状況が展開されました。したがって、どちらも攻撃はできないという核戦略が米ソ間に形成されました。それが冷戦での核戦争回避の一番大きな理由だったわけです。

 今また起こっているのは、体制の違う中国が新たなナンバー2として現れ、ナンバー1のアメリカにことごとくチャレ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
大国主神に学ぶ日本人の生き方(8)求婚の歌と縁結びの力
大国主神が詠んだ歌…『古事記』の歌の意味と縁結びの力
鎌田東二
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博